世界に約750属26400種あるとされるラン科植物のうち、チドリソウ亜科は約200属5000種を含むとされています。ラン科5亜科のうち、シュンラン亜科に次いで2番目に大きい亜科になります。
道内にも10数種のチドリソウ亜科のランが自生しています。
単子葉植物の花は基本的に3枚の花弁、3枚のがく片を持っています。
その中でもラン科植物の花は、3枚の花弁の中の1枚が唇弁と呼ばれる特殊な形をしており、3枚のがく片、2枚の側花弁、1枚の唇弁というつくりになっています。
また雄しべと雌しべが合着して、1本のずい柱となっていることも特徴的です。
ネジバナ属
ネジバナ
キジカクシ目ラン科チドリソウ亜科ネジバナ属ネジバナ
高さ10~30cmの多年草で、花期は7~9月です。
道端や草地に生えますが、下の写真のネジバナはアポイ岳の亜高山帯に生えていたものです。
葉は根生し長さ5~20cmの線形~狭倒披針形で、先はとがり基部は柄状に細くなります。
茎の上部には鱗片状の葉がつきます。
花序は長さ5~15cmで白毛があり、花はらせん状に連なるように多数つきます。
花の径は4~5mmで唇弁は白色、側弁花とがく片は淡紅色です。
ハクサンチドリ属
ハクサンチドリ
キジカクシ目ラン科チドリソウ亜科ハクサンチドリ属ハクサンチドリ
高さ10~40cmの多年草で、花期は6~7月です。
低山~高山の湿った草地に生えます。
葉は数枚互生し、広線形~披針形で長さ7~15cmです。
花は房状に5~20個付き径2cmほどで、色の変異が大きいです。
がく片や側花弁の先が伸びて鋭く尖ります。唇弁は長さ1cmほどと大きく、濃紫色の斑と突起状毛があり先は3裂します。
ノビネチドリ属
ノビネチドリ
キジカクシ目ラン科チドリソウ亜科ノビネチドリ属ノビネチドリ
高さ25~60cmの多年草で、花期は5~6月です。
低山~亜高山の林縁など明るい場所に生えます。
葉は長楕円形で4~10枚つき、上の葉ほど細く小さくなります。
葉身は長さ7~15cmで、目立つ葉脈と波打つ縁が特徴です。
花は穂状の花序に密に多数つきます。
ふつう唇弁に筋があり、長さ3~4mmの距が曲がって前に突き出ます。
根が横に良く伸びる性質があることから、ノビネチドリの名前がつきました。
ツレサギソウ属
オオヤマサギソウ
キジカクシ目ラン科チドリソウ亜科ツレサギソウ属オオヤマサギソウ
高さ40~60cmの多年草で、花期は7月下旬~8月です。
山地の林内に生えます。
葉は茎の下部に2枚付き、長さ10~20cmの長楕円形で光沢があります。
花は長い穂状の花序につきます。
上方に曲がった長楕円形の側がく片と、下方に伸びた唇弁が一面性を成します。
距は長さ15~20mmで後方やや下向きに伸びます。
キソチドリ
キジカクシ目ラン科チドリソウ亜科ツレサギソウ属キソチドリ
高さ15~30cmの多年草で、花期は7~8月です。
山地~亜高山の林内や草地に生えます。
茎の下部に大きな葉が1枚水平に開いてつきます。葉は長楕円形~卵形で基部は茎を抱きます。
花は5~15個まばらにつきます。
唇弁は細長く、長さ6~10mm。距も唇弁とほぼ同じ長さで前方に曲がります。
ホソバノキソチドリ
キジカクシ目ラン科チドリソウ亜科ツレサギソウ属ホソバノキソチドリ
高さ20~40cmの多年草で、花期は7~8月上旬です。
低地~高山の湿原や湿った草地に生えます。
葉は長楕円形で、一番下につく葉が特に大きいです。
茎の上部に花をやや密に多数つけ、花のつき方は一方に偏りません。
距は長さ15mmほどで、下を向くか前方に曲がります。
唇弁は肉質です。