ケシ科の植物は、世界に44属800~900種あるとされています。
このうち日本に自生するのは、ケシ属、クサノオウ属、キケマン属、コマクサ属、ヤマブキソウ属、タケニグサ属、オサバグサ属の7属です。
北海道に自生するものは、4属10種ほどとあまり多くありません。
ケシ属
リシリヒナゲシ
キンポウゲ目ケシ科ケシ亜科ケシ属リシリヒナゲシ
高さ20cmほどの多年草で、花期は6月下旬~8月上旬です。
北海道利尻山の高山れき地に生えます。
種子は発芽しやすいので、利尻島では車道沿いや市街地によく植えられています。
全体に粗い毛があります。
粉白色をおびた葉が根生し、羽状に全裂、裂片はさらに裂けます。
花は茎頂に1個つき、径4-5cmで花弁が4枚あります。
北海道の固有種で、日本に自生する唯一のケシ属植物です。
キケマン属
エゾエンゴサク
キンポウゲ目ケシ科ケマンソウ亜科キケマン属エゾエンゴサク
高さ10~30cmの変異の大きな多年草で、花期は4~5月です。
低地~山地のやや湿った林内に生えます。
葉は1~2回の3出複葉で、小葉の形は線形~卵形まで様々です。
花は総状花序につき長さ2cmほどです。花の色も白・桃・水色・紫と様々です。
花弁は4枚あります。2枚の外花弁うち、上側の花弁の後部は長い距となります。
下の写真を見ると、外花弁が上と下に分かれているのがわかると思います。
内花弁2枚は外花弁に隠れてほとんど見えず、先端部だけが見えています。
2枚の内花弁は、左右の花弁が先端部で合着しています。
この内花弁の中に雄しべと雌しべがあります。
果実は長さ2cm前後になります。
ムラサキケマン
キンポウゲ目ケシ科ケマンソウ亜科キケマン属ムラサキケマン
高さ20-50cmの2年草で、花期は5~6月です。
低地の明るくやや湿った林内に生えます。
葉は1~2回3出複葉で、小葉はさらに裂け、縁には鋸歯があります。
根出葉には長い柄があり、茎葉にも柄があります。
花は長さ1.2~2cmで、花弁は4個あり上弁の後方は距となります。
花柄の基部には扇状くさび形の苞があります。
果実は細長く、1.2cmほどの長さになります。
華鬘(けまん)とは仏殿の装飾品の名前で、花がその華鬘の形に似ていることからムラサキケマンの名前がついたそうです。
コマクサ属
コマクサ
キンポウゲ目ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属コマクサ
高さ5-20cmの多年草で、花期は7~8月です。
高山のれき地に生えます。
葉は全て根生し、長い柄があって粉白色をおびます。3出状に細かく裂け、終裂片は線状披針形です。
花の長さは2-2.5cmです。
花弁は4枚あり、外側の2枚は反り返り、内側の二枚は合着して筒形になっています。
花の形が駒(馬)の顔の形に似ていることから、コマクサの名前がつきました。
クサノオウ属
クサノオウ
キンポウゲ目ケシ科ケシ亜科クサノオウ属クサノオウ
高さ50cm前後の2年草で、花期は5~8月です。
低地の明るい場所に生えます。
葉は柔らかく、不規則な円い切れ込みが入り、裏面は灰白色です。
花の径は2.5cmほどで、花弁が4枚、がく片は2枚あります。
雌しべは1本、雄しべは多数あります。
毛の生えた2枚のがく片は、蕾を包んでいますが開花と同時に落ちます。
果実は棒状で、長さ4~5cmです。
茎や葉を切ると、アルカロイド成分を含む有毒な黄色い汁が出ます。