フウロソウ科の植物は、世界に5属約800種あるとされています。
その半分以上がフウロソウ属のものです。
日本に自生するのはフウロソウ属のみで、変種も含めて約30種が自生しています。
このうち北海道には8種ほどが自生しています。
なお園芸種のゼラニウムは、フウロソウ科テンジクアオイ属の植物です。
フウロソウ属
エゾフウロ
フウロソウ科フウロソウ属エゾフウロ
高さ30~80cmの多年草で、花期は7~8月です。
主に日本海側の海岸に生えます。
よく分枝して茂みを作っています。
花は2個ずつ付き、径2.5~3cmです。
花弁とがく片が各5枚、雄しべが10本、雌しべが1本あり、雌しべの花柱は5裂します。
先に雄しべが成熟した後に雌しべが成熟し、自家受粉を防いでいるようです。
葉は掌状に5裂け、裂片はさらに切れ込みます。
よく似たハマフウロとの違いは、ハマフウロの方が葉の切れ込みが浅く、毛が少ないとのことです。
私が見た個体は葉の切れ込みは中くらいですが、毛が多く生えていたためエゾフウロと判断しました。
花弁の先が切れ込んでいる個体もありました。
花が終わった後は5裂した花柱が目立ちます。
チシマフウロ
フウロソウ科フウロソウ属チシマフウロ
高さ20~50cmになる多年草で、花期は6~8月です。
道南では亜高山~高山の草地に生えますが、道東・道北では海岸近くにも生えるそうです。
花は茎頂の集散花序に集まってつき、径2.5~3cmです。
がく片には長毛が密生します。
花が白色の型を品種シロバナチシマフウロといいます。
大雪山系や日高山脈に見られる花の色が淡い型を品種トカチフウロといいます。
上の2枚の写真はニセコアンヌプリで撮影したものなので、シロバナチシマフウロかもしれません。
ゲンノショウコ
フウロソウ科フウロソウ属ゲンノショウコ
茎が地面を這って立ち上がり、長さ30~60cmになる多年草です。
道端や草地に生えます。
花期は7~9月とされていますが、10月に咲いている花も見たことがあります。
花は長い柄の先端に2個ずつつき、径1.5cmほどです。
花弁とがく片が5枚、雄しべが10本、雌しべが1本、雌しべの花柱は5個あります。
雄しべが先に成熟し、雄しべの葯が落ちた後に雌しべが成熟するようです。
葉は掌状に3~5裂し、裂片に切れ込みがあります。
茎には開出毛が密に生えます。
果実は長さ2cmほどの棒状で、熟すと果皮が5つにめくれて種子が飛びます。
八重咲のゲンノショウコを見つけました。
八重咲ゲンノショウコをその後も観察してみましたが、果実はできませんでした。
下の写真は10月に函館山で見つけたゲンノショウコです。
今まで見てきたものに比べて葉の切れ込みが浅く、丸みをおびていたので別の花かと思いましたが、このような葉を持つ個体もあるようです。
濃いピンク色の花弁をつけたゲンノショウコもありました。
ミツバフウロ
フウロソウ科フウロソウ属ミツバフウロ
茎が地面を這って立ち上がり、長さ30~80cmになる多年草です。
花期は7~10月で、山地~平地の草地に生えます。
葉は対生し長い柄があります。ほとんどが3深裂して、5裂するのは下部の葉のみです。葉の縁には大きな数個の鋸歯があります。
花は径1~1.5cmで、花弁とがく片が各5枚あります。雄しべは10本、雌しべは1本です。
よく似たゲンノショウコの茎と葉柄には開出毛(長毛)が密に生えますが、ミツバフウロの茎には伏毛がまばらに生えます。