スイカズラ科の植物は、世界に30~39属850~1000種あるとされています。
ジャムなどに果実を用いるクロミノウグイスカズラ(ハスカップ)は、この科のスイカズラ属の植物になります。
スイカズラ科は近年の分子系統解析の結果、大きく内容が変わった科です。旧分類でこの科に属していたニワトコ属やガマズミ属はガマズミ科となり異動、入れ替わりにマツムシソウ科・オミナエシ科として独立していた植物が加わりました。
ただまだ不確定な要素が多く、マツムシソウ科・オミナエシ科を独立した科のままとする見解もあります。
タニウツギ属
タニウツギ
マツムシソウ目スイカズラ科タニウツギ亜科タニウツギ属タニウツギ
高さ1~2.5mの落葉低木で、花期は5月下旬~6月です。
低山~山地の日の当たる斜面や谷沿いに生えます。
葉は卵状楕円形で対生し、長さ6~10cmです。浅い鋸歯があり、先は鋭く尖ります。
葉の裏面は短い軟毛が密生して白っぽく見えます。
花は葉腋につき、花冠は漏斗状で長さ3~3.5cmです。
花冠の先は浅く5裂し、径2.5cmほどです。
果実は円柱形で長さ約2cmです。10月に成熟します。
ハコネウツギ
マツムシソウ目スイカズラ科タニウツギ亜科タニウツギ属ハコネウツギ
高さ3~4mになる落葉樹で、花期は6~7月です。タニウツギよりやや遅く開花します。
道内では南部に自生し、海岸近くに生えます。
花は長さ3~4cmの漏斗状鐘形で、先は5裂します。
初めは白く後に紅色になります。
ウコンウツギ属
ウコンウツギ
マツムシソウ目スイカズラ科タニウツギ亜科ウコンウツギ属ウコンウツギ
高さ1~2mの落葉低木で、花期は6~7月です。
亜高山~高山の尾根や斜面に生えます。
葉は長楕円形で対生し、長さ10cmほどです。柄はほとんどありません。
花冠はラッパ状で長さ3~4cm、先が5つに裂けます。
5本の雄しべは、花冠の基部近くで合着しています。
スイカズラ属
キンギンボク(ヒョウタンボク)
マツムシソウ目スイカズラ科スイカズラ亜科スイカズラ属キンギンボク
高さ2mほどの落葉低木で、花期は5~6月です。
海岸~山地の日当たりの良い場所に生えます。
葉は長楕円形で長さ3~5cm、両面に軟毛が多く短い柄があります。
花は葉腋からの柄に2個ずつつき、花冠の長さは1.5cmほどです。花弁状に5深裂します。
花冠は初めは白色、後に淡黄色に変わり、これを金と銀にたとえたことが名前の由来とされています。
果実は球形で径約8mmです。赤く熟し、2個が合着してひょうたん型になります。
リンネソウ属
リンネソウ
マツムシソウ目スイカズラ科リンネソウ亜科リンネソウ属リンネソウ
高さ5~10cmの草本状の常緑小低木で、花期は6~8月です。
亜高山やハイマツ帯に生えます。茎は針金状で長く、地面を這います。
花は二つに分かれた柄から下向きにつき、花冠は漏斗状で長さ8~10mmです。花冠は5裂します。
葉は対生し卵形~倒卵円形で、長さ1cmほどです。短い柄があり、先は円く縁には低い鋸歯があります。質は硬く光沢があります。
オミナエシ属
オトコエシ
マツムシソウ目スイカズラ科オミナエシ亜科オミナエシ属オトコエシ
高さ1m近くになる多年草で、花期は8~9月です。
低地~山地の日の当たる場所に生えます。
葉は対生し、長さ5~15cmです。下部の葉ほど深く羽状に裂けます。裂片は長楕円形で縁には鋸歯があります。
花は茎頂に多数つき、花冠の先は5裂します。花の径は4mmほどで、雄しべが4本、雌しべが1本あります。
カノコソウ属
カノコソウ
マツムシソウ目スイカズラ科オミナエシ亜科カノコソウ属カノコソウ
高さ40~80cmの多年草で、花期は6~7月です。
山地の草地や岩地に生えます。
葉は対生し、花時枯れている根出葉には長い柄があり、上の葉ほど無柄になります。葉身は羽状に分裂して小葉は3~7枚で、縁には鋸歯があります。
花は茎頂の集散花序にまとまってつき、花冠は先が5裂して径5mmほどです。
花の様子を鹿の子絞りに見立て、カノコソウの名前がついたとされています。
マツムシソウ属
マツムシソウ
マツムシソウ目スイカズラ科マツムシソウ亜科マツムシソウ属マツムシソウ
高さ20~50cmの越年草または2年草で、花期は7~9月です。
海岸~山地のれき地に生えます。
葉は羽状分裂して、多数の根出葉と2~3枚の茎葉がつきます。長さは5~10cmです。
頭花は径4cm前後で多数の筒状花からなります。内側の花は小さく筒状です。外側の花は2唇形で上唇は小さく2裂、下唇は大きく3裂します。
4本の雄しべは長く、花冠から突き出ます。
マツムシが鳴き始めるころに花が咲き出すことから、マツムシソウの名前がついたとされています。