セリ科の植物は、世界に約450属3600種ほどあるとされています。
4亜科が認められ、日本に自生するのはツボクサ亜科・セリ亜科・ウマノミツバ亜科の3亜科になります。
ミツバ・ニンジン・セロリなどの野菜や、クミン・ウイキョウといった香辛料などとして利用される種を多く含みます。
ホタルサイコ属
ホタルサイコ
セリ目セリ科セリ亜科ホタルサイコ属ホタルサイコ
高さ1mほどになる多年草で、花期は7~8月です。
海岸や山地の草原に生えます。
茎葉は長さ15cmほどで基部が耳状となって茎を抱きます。下部の葉には翼のついた柄があります。
葉の裏は白いです。
花は茎頂や葉腋から出る複散形花序に多数つきます。
小散形花序の径は1cmほどで、花弁と雄しべは5個あります。
近似種エゾサイコは、小総苞片が披針形で小花柄よりもやや長いです。
ミツバ属
ミツバ
セリ目セリ科セリ亜科ミツバ属ミツバ
高さ30~80cmの多年草で、花期は7~8月です。
低地~山地の湿った林内に生えます。
葉は3出複葉で、小葉は卵形で先は尖り縁には重鋸歯があります。
花は散形花序につき、径は2~3mmです。花弁は5枚あります。
雄しべは5本、雌しべは1本、雌しべの花柱は2個あります。
山菜として食用にされ、野菜としても栽培されています。
セリ属
セリ
セリ目セリ科セリ亜科セリ属セリ
高さ20~60cmの多年草で、花期は7~9月です。
低地の湿地や水辺に生えます。
葉は1~2回の羽状複葉で、小葉は長さ1~4cm、粗い鋸歯があり先が尖ります。
花は複散形花序につき、径3mmほどです。
全草に香りがあり食用にされます。
新芽がたくさん出る様子が競り合っているように見えたことから、セリの名前がついたとされています。
ドクゼリ属
ドクゼリ
セリ目セリ科セリ亜科ドクゼリ属ドクゼリ
高さ60~100cmになる多年草で、花期は7~8月です。
沼や川などの水辺に生えます。
葉は2~3回の羽状複葉で、縁には鋭い鋸歯があります。
花は球形に近い複散形花序に多数付き、径3mmほどです。
花弁は5個、雄しべは5本、雌しべの花柱は2個あります。
総苞片は無く、線形の小総苞片が数個あります。
果実は球形で径3mmほどです。
ドクウツギ、トリカブトと並んで日本三大毒草の一つで、全体に猛毒のシクトキシンを含みます。
シャク属
シャク
セリ目セリ科セリ亜科シャク属シャク
高さ1~1.5mの軟弱そうに見える多年草で、花期は5月下旬~6月です。
低地~山地の林内などに生えます。
葉は2~3回羽状複葉で小葉はさらに細裂し、先は尾状に伸びます。
花は複散形花序に多数付き、花序の中心側の花と花弁が小さいです。
花弁と雄しべは5個あります。
果実は披針形です。
シャクという名前はサクのなまりだとも言われていますが、はっきりとした語源はわかっていません。
ヤブニンジン属
ヤブニンジン
セリ目セリ科セリ亜科ヤブニンジン属ヤブニンジン
高さ30~80cmの多年草で、花期は5~6月です。
低地~低山の林内に生えます。
花時には全体に白い軟毛があります。
葉は2~3回羽状複葉で小葉はさらに羽裂して深い鋸歯縁があります。
葉柄基部は鞘となります。
花は複散形花序にまばらにつき、総苞片と小総苞片がありますが果期には落ちます。
小散形花序の中央に雄花、周りに両性花がつきます。
果実はこん棒状で長さ2cmほどです。上向きに毛が生えます。
ニンジン属
ノラニンジン(帰)
セリ目セリ科セリ亜科ニンジン属ノラニンジン
高さ40~100cmの1稔性の多年草で、花期は8~9月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。
葉は2回羽状複葉で、小葉はさらに羽状深裂します。
複散形花序には羽状に裂けた総苞片がつきます。
花と5枚の花弁は花序の中心部に近いものほど小さくなります。
果実は長さ3mmほどで、稜上に刺が並んでつきます。
栽培されるニンジンの野生種と言われていますが、根は細いです。
ヤブジラミ属
ヤブジラミ
セリ目セリ科セリ亜科ヤブジラミ属ヤブジラミ
高さ30~100cmの二年草で、花期は7~8月です。
低地~低山の林縁や道端に生えます。
全体に硬い細毛がありざらつきます。
葉は2~3回羽状複葉で小葉はさらに切れ込み、深い鋸歯縁で先は尾状に尖ります。
花は小さな複散形花序につき、径3mmほどです。
線状の総苞片と小総苞片があります。
花弁と雄しべは各5個あり、花弁の先は内側に曲がります。
果実は卵形で鉤状の刺毛が密生し、動物に引っかかって運ばれます。
果実がよく人の体につくことをシラミにたとえ、ヤブジラミの名前がつきました。
マルバトウキ属
マルバトウキ
セリ目セリ科セリ亜科マルバトウキ属マルバトウキ
高さ30~100cmの多年草で、花期は6月下旬~8月です。
海岸の草地や岩場に生えます。
茎は暗紫色をおびます。
葉は厚みと光沢があり、2回3出複葉で縁には鋸歯があります。
花は複散形花序につき、径4mmほどです。花弁と雄しべは各5個あります。
果実は長楕円形です。
カノツメソウ属
カノツメソウ
セリ目セリ科セリ亜科カノツメソウ属カノツメソウ
高さ50~90cmの多年草で、花期は8~9月です。
低地~山地の林内に生えます。
花はまばらな複散形花序につき、径3mmほどです。花弁と雄しべは5個、雌しべは1個、雌しべの花柱は2個あります。
総苞片、小総苞片は共に線形で数個あります。
果実は長楕円形で長さ6mmほどです。
根の形を鹿の爪に見立てて、カノツメソウの名前がつきました。
ミヤマセンキュウ属
ミヤマセンキュウ
セリ目セリ科セリ亜科ミヤマセンキュウ属ミヤマセンキュウ
高さ40~80cmの多年草で、花期は7月下旬~9月です。
山地~亜高山の草地や林縁に生えます。
葉は2~3回羽状複葉で小葉はさらに切れ込みます。葉柄の基部は袋状となって茎を抱きます。
複散形花序には糸状の小総苞片が目立ちます。
ハナウド属
オオハナウド
セリ目セリ科セリ亜科ハナウド属オオハナウド
高さ1.5~2mの多年草で、花期は5~6月です。
低地~山地のやや明るい所に生えます。
全体に毛が多くざらつく感触があります。
葉は3出複葉で小葉はさらに大きく裂け、縁には不規則な深い切れ込みと鋸歯があります。
花弁と雄しべは各5個あります。外側の花が大きく、特に外周の花弁は大きく先が2裂します。
果実は薄く倒卵形です。
茎や葉の様子がウドに似ていることから、ハナウドの名前がついたそうです。
ハマボウフウ属
ハマボウフウ
高さ5~30cmの多年草で、花期は6~8月です。
海岸の砂地に生えます。
全体に白い軟毛が密生します。
葉は1~2回の3出複葉で小葉はさらに3裂し、裂片の先は円いです。質は硬くて厚く、下部の葉には長い柄があります。
花は複散形花序に多数まとまってつきます。花序の軸は太く、軟毛が密に生えます。
花弁と雄しべは各5個、雌しべは1本、花柱は2個あります。
果実は楕円形で隆起した稜があり、長さ5mmほどです。
中国から渡ってきた薬用植物ボウフウと間違われ、ついた名前とされています。
イブキボウフウ属
イブキボウフウ
セリ目セリ科セリ亜科イブキボウフウ属イブキボウフウ
高さ30~90cmの多年草で、花期は7月下旬~9月です。
海岸~山地の日当たりの良い場所に生えます。
全体に毛があり、茎は硬く中実、上部で分枝します。
葉は2~3回羽状複葉で小葉はさらに切れ込み、裂片の変異が大きいです。
複散形花序は密で、柄には突起状の毛があります。
花には径3mmほどの長三角形のがく片があります。
滋賀県伊吹山で発見されたことから、イブキボウフウの名前がつきました。
シシウド属
アマニュウ
セリ目セリ科セリ亜科シシウド属アマニュウ
高さ2m前後の多年草で、花期は6月下旬~7月です。
低地~山地の草地や林内に生えます。
葉は1~3回の3出複葉で、小葉は広卵形で幅が広く長さとほぼ同長です。
鋸歯縁で基部は心形、頂小葉はさらに3裂します。葉柄の基部は少し膨れます。
花は径20cm以上の大型複散形花序に多数つき、径3mmほどです。
花弁と雄しべは各5個あります。
雌しべの花柱は2個あります。花弁が落ちた後の方が、花柱の様子がよくわかります。
食べると甘味があることから、アマニュウの名前がつきました(ニュウはアイヌ語)。
エゾニュウ
セリ目セリ科セリ亜科シシウド属エゾニュウ
高いもので3mになる多年草で、花期は7~8月です。
海岸~山地の草地に生えます。
葉は2~3回の3出複葉で、小葉はさらに裂けます。
葉柄基部には、大きくふくらんだ鞘があります。
小さな花が大きな複散形花序に多数つきます。
花弁と雄しべは各5個あります。
オオバセンキュウ
セリ目セリ科セリ亜科シシウド属オオバセンキュウ
高さ60~150cmの多年草で、花期は8~9月です。
低地~山地の湿った所や沢沿いに生えます。
葉は1~2回羽状複葉で、節ごとに下に屈曲します。
小葉は広披針形で長さ3~10cm、縁には鋸歯があります。
花は複散形花序に多数つきます。
複散形花序の下に総苞片は無く、小花序の下の小総苞片は糸状で数個あります。
花の径は3~4mmで、花弁と雄しべは各5個あります。
ウマノミツバ属
ウマノミツバ
セリ目セリ科ウマノミツバ亜科ウマノミツバ属ウマノミツバ
高さ30~80cmの多年草で、花期は7~8月です。
低地~低山の林内の湿った場所に生えます。
葉は3全裂し、片側がさらに2深裂する葉があります。縁には欠刻や鋸歯があります。
葉の表面は葉脈に沿ってへこみしわ状になります。
花序は枝先につき、小さな雄花が中心部に、両性花がその周辺を囲みます。
花弁と雄しべは各5個あります。
がく筒には鉤状の刺があり、花期には動物に付いて運ばれます。
食用にするには不向きなミツバという意味で、ウマノミツバという名前がつきました。