キク類キク目キク科アザミ亜科の植物

キク科

キク科の植物は世界に約1600属25000種あり、このうちアザミ亜科のものは約85属2500種あるとされています。

根菜のゴボウは、ヨーロッパ~中国原産のアザミ亜科ゴボウ属の植物です。

アザミ属

多数の筒状花が集まって頭状花序(頭花)を作ります。紫系の円い花、切れ込みとトゲのある葉が特徴です。日本には70種ほど分布するとされています。

オオノアザミ

キク目キク科アザミ亜科アザミ属オオノアザミ

高さ50~100cmの多年草で、花期は8~10月です。

道内では渡島半島と太平洋側に分布し、低地~低山の草地や道端に生えます。

オオノアザミ
7月25日 函館山
オオノアザミ
8月11日 函館山

長さ50~60cmの根出葉は花時にもあり、濃緑色で羽状深裂します。裂片には先が刺となった牙歯があります。

オオノアザミ葉
7月25日 函館山
オオノアザミの葉
10月9日 函館山

頭花は径4cmほどで上向きにつき、苞はありません。総苞に蜘蛛毛があり、外片の先はややとがって斜めに開きます。

オオノアザミの総苞
10月9日 函館山
オオノアザミの総苞
8月16日 江差町
オオノアザミの花
8月16日 江差町

マルバヒレアザミ

キク目キク科アザミ亜科アザミ属マルバヒレアザミ

高さ1~2mの多年草で、花期は6月下旬~9月です。

北海道西南部~青森県に分布し、海岸~山地の林縁や草地に生えます。

マルバヒレアザミ
7月7日 函館山
マルバヒレアザミ
7月11日 函館山

根出葉は花時には枯れ、茎葉は全縁~羽状中裂と変異が大きく、下部の葉ほど切れ込みが大きいです。

マルバヒレアザミ
7月11日 函館山

葉の縁にはトゲがあり、基部が翼となって茎に延下することがあります。

マルバヒレアザミ 下部の葉
下部の葉 7月11日 函館山

頭花は横~上向きにつき、総苞片は6列です。

マルバヒレアザミ
6月13日 函館山

総苞片は線状披針形で柔らかく、上部は斜上し反り返りません。

マルバヒレアザミの花
7月7日 函館山
マルバヒレアザミの花
7月7日 函館山
マルバヒレアザミの花
7月7日 函館山

近似種 ミネアザミ

マルバヒレアザミの近似種ミネアザミは、総苞片がやや太くて硬く、上部があまり曲がらず内片に白い腺体があってやや粘ります。

花期はやや遅く、生育地と分布域はマルバヒレアザミとほぼ重なります。

ミネアザミ
10月7日 江差町

チシマアザミ

キク目キク科アザミ亜科アザミ属チシマアザミ

高さ1~2mの多年草で、花期は7~8月です。

低地~亜高山の日当たりの良い場所に生えます。

チシマアザミ
7月29日 鹿追町

茎葉は全縁~羽状に中裂しますが、下部の葉ほど切れ込みが大きく、上部の葉は切れ込みが少ないです。

チシマアザミ
7月29日 鹿追町
チシマアザミ

頭花は横~下向きにつき径4~5cmほどです。

チシマアザミ
7月29日 鹿追町

エゾノキツネアザミ

キク目キク科アザミ亜科アザミ属エゾノキツネアザミ

高さ60~180cmの雌雄異株の多年草で、花期は7月下旬~9月です。

低地の道端や草地に生えます。

全体に蜘蛛毛があり、茎は上部で分枝します。

エゾノキツネアザミ
9月12日 厚沢部町

根出葉は花時には無く、茎葉は長さ10~20cmの長楕円状披針形で、柄はありません。

葉の縁には不規則な粗い鋸歯があり、刺状の縁毛があります。

エゾノキツネアザミの葉
9月12日 厚沢部町

頭花は長い柄があって、上向きにつきます。雄花は径1.5cm、雌花は径2cmほどです。

エゾノキツネアザミの花
9月12日 厚沢部町

サワアザミ

キク目キク科アザミ亜科アザミ属サワアザミ

高さ1~2mになる大型の多年草で、花期は8月下旬~10月です。

道央以南に分布し、野山のやや湿った所や沢沿いに生えます。

8月22日 函館山

根出葉は花時にも残存します。葉は大きく長さが50~60cmほどになり、下部の葉ほど羽状に深く切れ込み、縁の刺は少ないです。

サワアザミ
10月7日 函館山
サワアザミ
10月9日 函館山

径5cmほどの頭花が下向きにつき、基部近くに小さな葉片(苞葉)が数個あります。

8月22日 函館山
サワアザミの花と苞葉
10月7日 函館山

セイヨウ(アメリカ)オニアザミ(帰)

キク目キク科アザミ亜科アザミ属セイヨウオニアザミ

高さ50~150cmになる多年草で、花期は8~9月です。

ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地、河原などに生えます。

セイヨウオニアザミ
7月23日 乙部町

茎は全体に毛と鋭いトゲのある翼があり、よく分枝します。

茎葉は大きいもので長さ40cmになります。

葉は不規則に深く切れ込み、裂片の縁には鋭いトゲがあります。裏面は白い綿毛が密生します。

セイヨウオニアザミの葉
7月23日 乙部町
セイヨウオニアザミの根元
7月23日 乙部町

頭花は径4cmほどで上向きにつき、総苞はつぼ型です。総苞片の先は鋭いトゲになります。

セイヨウオニアザミの花
7月23日 乙部町

ヤマボクチ属

オヤマボクチ

キク目キク科アザミ亜科ヤマボクチ属オヤマボクチ

高さ1~1.5mの多年草で、花期は8~10月です。野山の陽当たりの良い場所に生えます。

オヤマボクチ
10月11日 函館山

葉は心形で下部の葉は長さ30cm位になります。柄があり裏面は蜘蛛毛が密生していて白いです。

オヤマボクチ
10月11日 函館山

頭花は枝先にぶら下がり径4cm前後です。総苞片は曲がった針状で開出します。

オヤマボクチ
10月11日 函館山

トウヒレン属

ナガバキタアザミ

キク目キク科アザミ亜科トウヒレン属ナガバキタアザミ

高さ15~40cmの多年草で、花期は7月下旬~9月です。

亜高山~高山の草地に生えます。

ナガバキタアザミ
8月17日 大雪山赤岳

葉は三角状卵形で、基部は翼となって茎に流れます。

筒状花からなる頭花は、10個ほどまとまってつきます。総苞片、特に外片の先が尾状に長く伸びます。

エゾトウヒレン

キク目キク科アザミ亜科トウヒレン属エゾトウヒレン

ナガバキタアザミの変種とされていますが、別種という見解もあります。

エゾトウヒレン
8月22日 函館山

ナガバキタアザミとの違いは総苞片の先が尾状に伸びないことです。

エゾトウヒレン
8月22日 函館山
エゾトウヒレン
8月22日 函館山

ウスユキトウヒレン

キク目キク科アザミ亜科トウヒレン属ウスユキトウヒレン

高さ5~20cmの多年草で、花期は7~9月です。

高山の砂れき地や草地に生えます。

ウスユキトウヒレン
8月17日 赤岳

全体に蜘蛛毛があり、白っぽく見えます。

葉は卵形に近いものから披針形まで変異があります。

頭花は数個まとまってつき、総苞は鐘形です。

タイトルとURLをコピーしました