世界に約750属26400種あるとされるラン科植物のうち、バニラ亜科は14属約250種を含むとされています。
お菓子作りに使用するバニラエッセンスは、バニラ属バニラの種子から抽出したものです。
日本に分布するバニラ亜科のランは、トキソウ属、ツチアケビ属、タカツルラン属、ムヨウラン属になります。
このうち道内にはトキソウ属とツチアケビ属しか分布していないようで、バニラ亜科のランの種類は少ないです。
トキソウ属
トキソウ
キジカクシ目ラン科バニラ亜科トキソウ属トキソウ
高さ15-25cmの多年草で、花期は6-7月です。
低地~山地の湿原に生えます。
葉は茎の中部に1枚つき、長さ3~10cmの狭長楕円形です。やや直立し、基部は翼状となって茎に流れます。
花は茎頂に1個つき、基部に葉状の苞があります。
下の写真で赤みを帯びた葉のように見えるのは苞です。葉はさらに下にあります。
がく片3枚は長さ2cmほどの狭長楕円形で、花弁のように見えます。
花弁はがく片より短いです。唇弁は先が3裂し、中裂片に肉質突起が多数あります。
花の色が鳥のトキに似ていることから、トキソウの名前がつきました。
ツチアケビ属
ツチアケビ
キジカクシ目ラン科バニラ亜科ツチアケビ属ツチアケビ
高さ50~100cmの葉緑素を持たない寄生ランで、花期は7-8月です。
山地の樹林下に生えます。
養分をナラタケ菌に依存していると考えられており、葉はありません。
つぼみ(または果実)の様子がアケビの果実に似ることから、ツチアケビの名前が付いたとされています。
下の写真でウィンナーソーセージのように見えるものが果実です。
熟するとさらに赤くなります。
花は径2cmほどです。唇弁だけが黄色で、残りの花弁とがく片は薄茶色になります。