キンポウゲ目ケシ科の植物

キンポウゲ目

ケシ科の植物は、世界に44属800~900種あるとされています。

このうち日本に自生するのは、ケシ属、クサノオウ属、キケマン属、コマクサ属、ヤマブキソウ属、タケニグサ属、オサバグサ属の7属です。

北海道に自生するものは、4属10種ほどとあまり多くありません。

ケシ属

リシリヒナゲシ

キンポウゲ目ケシ科ケシ亜科ケシ属リシリヒナゲシ

高さ20cmほどの多年草で、花期は6月下旬~8月上旬です。

北海道利尻山の高山れき地に生えます。

種子は発芽しやすいので、利尻島では車道沿いや市街地によく植えられています。

リシリヒナゲシ
7月21日 利尻町市街地

全体に粗い毛があります。

粉白色をおびた葉が根生し、羽状に全裂、裂片はさらに裂けます。

花は茎頂に1個つき、径4-5cmで花弁が4枚あります。

北海道の固有種で、日本に自生する唯一のケシ属植物です。

キケマン属

エゾエンゴサク

キンポウゲ目ケシ科ケマンソウ亜科キケマン属エゾエンゴサク

高さ10~30cmの変異の大きな多年草で、花期は4~5月です。

低地~山地のやや湿った林内に生えます。

エゾエンゴサク
4月20日 奥尻町
4月15日 函館山

葉は1~2回の3出複葉で、小葉の形は線形~卵形まで様々です。

エゾエンゴサク
4月15日 函館山
エゾエンゴサク
5月9日 真狩村

花は総状花序につき長さ2cmほどです。花の色も白・桃・水色・紫と様々です。

エゾエンゴサク白花
5月9日 真狩村
5月3日 奥尻町
エゾエンゴサクの花
4月5日 奥尻町

花弁は4枚あります。2枚の外花弁うち、上側の花弁の後部は長い距となります。

下の写真を見ると、外花弁が上と下に分かれているのがわかると思います。

4月15日 函館山

内花弁2枚は外花弁に隠れてほとんど見えず、先端部だけが見えています。

2枚の内花弁は、左右の花弁が先端部で合着しています。

この内花弁の中に雄しべと雌しべがあります。

4月15日 函館山
エゾエンゴサクの果実
4月26日 函館山

ムラサキケマン

キンポウゲ目ケシ科ケマンソウ亜科キケマン属ムラサキケマン

高さ20-50cmの2年草で、花期は5~6月です。

低地の明るくやや湿った林内に生えます。

ムラサキケマン
4月28日 松前町
ムラサキケマン
5月2日 函館山
ムラサキケマン
5月2日 函館山

葉は1~2回3出複葉で、小葉はさらに裂け、縁には鋸歯があります。

ムラサキケマンの葉
5月2日 函館山
ムラサキケマンの葉
4月28日 松前町

根出葉には長い柄があり、茎葉にも柄があります。

ムラサキケマンの葉
6月8日 函館山

花は長さ1.2~2cmで、花弁は4個あり上弁の後方は距となります。

花柄の基部には扇状くさび形の苞があります。

ムラサキケマンの花
5月2日 函館山
ムラサキケマンの花
5月2日 函館山

華鬘(けまん)とは仏殿の装飾品の名前で、花がその華鬘の形に似ていることからムラサキケマンの名前がついたそうです。

コマクサ属

コマクサ

キンポウゲ目ケシ科ケマンソウ亜科コマクサ属コマクサ

高さ5-20cmの多年草で、花期は7~8月です。

高山のれき地に生えます。

コマクサ
8月17日 大雪山赤岳

葉は全て根生し、長い柄があって粉白色をおびます。3出状に細かく裂け、終裂片は線状披針形です。

8月17日 大雪山赤岳

花の長さは2-2.5cmです。

花弁は4枚あり、外側の2枚は反り返り、内側の二枚は合着して筒形になっています。

8月17日 大雪山赤岳

花の形が駒(馬)の顔の形に似ていることから、コマクサの名前がつきました。

クサノオウ属

クサノオウ

キンポウゲ目ケシ科ケシ亜科クサノオウ属クサノオウ

高さ50cm前後の2年草で、花期は5~8月です。

低地の明るい場所に生えます。

クサノオウ
7月26日 中富良野町

葉は長さ10cm前後で不規則な円い切れ込みが入り、裏面は灰白色です。

茎や葉を切ると、アルカロイド成分を含む有毒な黄色い汁が出ます。

クサノオウ
7月26日 中富良野町

花は径2.5cmほどで、花弁は4枚、雄しべは多数、雌しべは1本あります。

がく片は2枚ありますが、開花と同時に落ちます。

クサノオウ
7月26日 中富良野町
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