ナデシコ科の植物は、世界に約90属2500~2600種あるとされています。
このうち日本には約15属80~90種ほどが自生しています。
ナデシコ科の植物の特徴は、葉が対生し鋸歯が無いこと、花弁や雄しべの数が5の倍数となる種が多いことです。
参考図書 「新維管束植物分類表」米倉浩司 「新北海道の花」梅沢俊 ほか
ノミノツヅリ属
オオヤマフスマ
ナデシコ目ナデシコ科ノミノツヅリ属
高さ10~15cmの多年草で、花期は5月下旬~7月です。
林縁や草地に生え、地下茎を伸ばして群生します。

葉は対生し、長楕円形で長さ1~2.5cmです。葉先は尖らず柄はありません。



花には雌花と両性花があり、両性花が大きく径1cm以上、雌花が小さく径1cm以下だとのことです(梅沢俊著「新北海道の花」)。
下の写真の花は径1cm以上あるので両性花です。

花弁とがく片が各5枚、雄しべが10本、雌しべは1本、雌しべの花柱は3個あります。

下の花は径1cm以下なので雌花だと思われます。

両性花の雄しべに比べて雌花の雄しべは短く、退化しているようです。




ミミナグサ属
ミミナグサ
ナデシコ目ナデシコ科ミミナグサ属
高さ10~25cmの2年草で、花期は5~7月です。
野山の道端や田畑の周辺に生えます。

花は集散花序につき、径8mmほどです。

先が2裂した花弁とがく片が各5枚、雄しべが10本、雌しべが1本、雌しべの花柱は5個あります。

花弁とがく片はほぼ同じ長さです。

茎は斜上気味に生え毛が密生します。葉は対生し、長さ1~3cmの卵形~長楕円形で両面に毛が密生します。

葉の形がネズミの耳に似ていることから、ミミナグサの名前がつきました。
変種 オオミミナグサ
ミミナグサの変種です。
ミミナグサより大型で、茎は紅紫色をおびることが多いです。

花の径は1cmほどです。




オオバナノミミナグサ
ナデシコ目ナデシコ科ミミナグサ属
高さ20~60cmの多年草で、花期は5~7月です。海岸の草原や岩地に生えます。

茎の下部は少し斜上して上部は直立し、全体に毛が密生します。

花の径は2~2.5cmで、花弁は先が2中裂します。がく片は花弁よりも短いです。

花弁とがく片は各5枚、雄しべが10本、雌しべが1本、雌しべの花柱は5個あります。

葉は無柄で対生し、長さ1~5cmの長楕円形です。

タカネツメクサ属
エゾタカネツメクサ
ナデシコ目ナデシコ科タカネツメクサ属
高さ5~8cmの多年草で、花期は6月下旬~8月です。
高山のれき地に、マット状に広がって生えます。

葉はやや多肉質で無毛、針形~線形で2~4対生します。
葉脈は1本です。


花の径は1cmほどです。
花弁とがく片は各5枚あり、花弁ががく片よりも長いです。

ナデシコ属
エゾカワラナデシコ
ナデシコ目ナデシコ科ナデシコ目
高さ30~50cmの多年草で、花期は6~9月です。
海岸~高山の岩場や草地に生えます。

株立ちになって茎は上部で分枝します。


葉は対生し、長さ5~6cmの線形~披針形です。

花は径5cmほどで、5枚の花弁の先は細かく深裂します。
雄しべが10本、雌しべが1本、雌しべの花柱は2個あります。



花色が濃くがく筒が短い型は変種タカネナデシコとされますが、中間個体も多く見分けるのが難しいです。
ハマハコベ属
ハマハコベ
ナデシコ目ナデシコ科ハマハコベ属
高さ10~20cmの多年草で、花期は6~8月です。
海岸の砂地に群生します。

葉は長さ3cmほどで、多肉質で光沢があり、十字対生して基部と基部が合着します。
花は径1cmほどで、花弁とがく片が各5枚、雄しべが10本、花柱が3個あります。
花弁はがく片より小さいです。

ツメクサ属
ハマツメクサ
ナデシコ目ナデシコ科ツメクサ属
高さ5~10cmになる1年草または多年草で、花期は5~8月です。
海岸のれき地・砂地に生えます。


葉は対生し、やや肉質で長さ1~2cmです。



花は径5~6mmで、花弁は5枚ありますが、欠くこともあります。

雄しべは5~10本、雌しべは1本で雌しべの花柱は5個あります。

がく片は楕円形で白いふちどりと腺毛があります。


種子に突起はありません(よく似たツメクサには円柱形の突起があります)。

ツメクサ
ナデシコ目ナデシコ科ツメクサ属
高さ5~15cmの1年草で、花期は5~9月です。道端などに生えます。

茎は根元で分枝して横に広がり、上部と小花柄、がく片に短腺毛があります。

葉は長さ7~18mmの細い線形でやや多肉質、先がとがります。


花は径4mmほどで花弁とがく片はほぼ同じ長さで各5枚あります。

花弁は5枚あり、卵形~楕円形です。

雄しべは5~10本あります。

雌しべの花柱は5個あります。

種子に微細な円柱状の突起があります。

マンテマ属
アポイマンテマ
ナデシコ目ナデシコ科マンテマ属
高さ10~25cmの多年草で、花期は7月中旬~8月です。
日高地方アポイ岳の岩れき地に生えます。
葉は対生し、長さ2~4cmの披針形で裏表とも紫色をおびます。
花は径1.5cmほどで、花弁は5枚、雄しべは10本、花柱は3個あります。


変種チシママンテマは全体に毛が多く、葉の幅が広いです。

ムシトリナデシコ(帰)
ナデシコ目ナデシコ科マンテマ属
高さ20~50cmになる1~2年草で、花期は7~8月です。
道端や空き地などに生える、ヨーロッパ原産の帰化植物です。
全体が無毛で、やや白みをおびます。

葉は対生し長さ5cmほど、無柄で茎を抱きます。

花は散形状につき、径1.5cmほどです。
花弁が5枚、雄しべが10本、雌しべの花柱は3個あります。

茎の節間に褐色の粘液を分泌する部分があり、虫を捕らえるのではないかと想像されたことからムシトリナデシコの名前がつきました。(実際には虫を捕らえるものではありません。)
ナンバンハコベ
マンテマ属では無く、ナンバンハコベ属とする見解もあります。
ナデシコ目ナデシコ科マンテマ属
つる性の多年草で、長さは1.5m近くになります。
花期は7~9月で、山地の林内や林縁に生えます。

花弁は長さ1.5cmほどで先が2裂して下に反り、基部は糸状となります。
花弁が5枚、雄しべが10本、雌しべの花柱は3個あります。

葉は対生し、長さ3~7cmの卵形で全縁です。

果実は径1cmほどの球形で、黒く熟します。

ナンバンハコベという名前ですが、もともと日本に自生している種です。
オオツメクサ属
ノハラツメクサ(帰)
ナデシコ目ナデシコ科オオツメクサ属
高さ20~50cmの1年草で、花期は6~8月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や田畑の周辺に生えます。

葉はやや肉質で線形、10本ほどが何段も輪生状につきます。

花は径8mmほどで花弁とがく片が各5枚、雄しべが10本、雌しべの花柱が5個あります。

葉の形が鳥のツメに似ていることから、ツメクサの名前がついたそうです。
ウシオツメクサ属
ウスベニツメクサ(帰)
ナデシコ目ナデシコ科ウシオツメクサ属
高さ5~20cmになる1年草または多年草で、花期は6~8月です。
ヨーロッパ~中国原産の帰化植物で、道端や空き地、海岸の砂地などに生えます。

葉は対生して長さ1~1.5cm、幅0.5~1mmです。

花は径7mmほどで、5枚の花弁はがく片よりも少し短いです。

雄しべは5~10本、雌しべの花柱は3個あります。


ハコベ属
コハコベ(ハコベ)
ナデシコ目ナデシコ科ハコベ属
高さ10~20cmの1~2年草で、花期は4~10月です。道端や田畑の周辺などに生えます。
茎の下部は地面を這い、途中から立ち上がります。

葉は対生し長さ1~4cmで、上部の葉は無柄、下部の葉は有柄です。


花は集散花序につき、径6mmほどです。5枚の花弁は先が2深裂し、がく片より短いです。


雄しべは1~7本、花柱は3個あります。

ミヤマハコベ
ナデシコ目ナデシコ科ハコベ属
高さ10~30cmの多年草で、花期は5~6月です。
山地の湿った林内に生えます。

葉は対生し、卵形~広卵形で柄があります。

葉の裏面脈状や基部には毛が生えます。


花は径1cmほどで、花弁は5枚あって先が深く2裂し、がく片より少し長いです。
雄しべは10本、雌しべの花柱は3個です。

ウシハコベ
ナデシコ目ナデシコ科ハコベ属
茎の下部は地を這い、長さ50cmほどになる多年草または2年草です。花期は5~9月で、道端や空き地に生えます。


茎はふつう紫色をおび、上部に腺毛があります。

葉は卵形で対生し、無毛です。

葉は大きいもので長さ5~6cmになり、先はとがります。下部の葉には柄があります。

花は径7cmほどです。花弁は5枚あり、先が深く2裂し、がく片よりやや短いです。

雄しべは10本、花柱は5個あります。

花柱が3個や4個のものを見ることもあります。

