キク科の植物は世界に約1600属25000種あり、このうちキクニガナ亜科のものは約250属2700～3000種あるとされています。
タンポポの仲間や、野菜として食されているチコリ（キクニガナ属）やレタス（チシャ：アキノノゲシ属）もキクニガナ亜科の植物になります。
キクニガナ属
キクニガナ（チコリ；帰）
キク科キクニガナ亜科キクニガナ属キクニガナ
高さ50～120ｃｍの多年草で、花期は7～9月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。
茎はよく分枝します。
根出葉は羽状に裂けてタンポポの葉状になり、上部の葉ほど切れ込みが無くなりサイズが小さくなります。
頭花は茎の上部にまばらにつき、径3～4ｃｍです。舌状花のみからなります。
総苞には短い外片と長い内片があり、腺毛がまばらに生えます。
ヨーロッパではスプラウト野菜として、よく食べられている植物です。
オニタビラコ属
オニタビラコ
キク科キクニガナ亜科オニタビラコ属オニタビラコ
高さ20～100ｃｍの１～２年草で、花期は６～８月です。
道端や空き地などに生え、全体に軟毛があります。
タンポポのような葉が根元に集まり（ロゼット葉）、頂裂片が特に大きいです。
茎の中ほどに葉をつけることもあります。
頭花は散房花序に多数つき、径7～8ｍｍで舌状花のみからなります。
ニガナ属
イワニガナ（ジシバリ）
キク科キクニガナ亜科ニガナ属イワニガナ
高さ5～15ｃｍほどになる多年草で、花期は６～７月です。
低地～山地の日当たりの良い場所に生えます。
茎は細く、地面を匍匐して四方に広がります。
葉は薄く、卵形～長卵形で長さ3ｃｍ以下で鋸歯はありません。
頭花は1～2個つき、舌状花のみからなり径2～2.5ｃｍです。
ハマニガナ
キク科キクニガナ亜科ニガナ属ハマニガナ
砂中を走る茎の節から5ｃｍほどの花茎と葉を出す多年草で、花期は６～８月です。
海岸の砂地に生えます。
葉はやや多肉質で長い柄があり、3～5裂して扇状に広がります。長さ3～5ｃｍで、裂片の先は円いです。
頭花は1～3個つき、15個ほどの舌状花からなり、径3ｃｍほどです。
ハナニガナ
キク科キクニガナ亜科ニガナ属
高さ50ｃｍほどの多年草で、花期は6～７月です。
山地の日当たりの良い場所に生えます。
茎葉は無柄で、基部は心形となって茎を抱きます。
根出葉には翼のある柄があり、不整の切れ込みと鋸歯があります。
頭花は8～11個の舌状花からなり、径は1.5ｃｍほどです。
シロバナニガナ
ハナニガナの舌状花が白いタイプです。
花が白いこと以外の特徴はハナニガナと同じです。
タンポポ属
エゾタンポポ
キク科キクニガナ亜科タンポポ属エゾタンポポ
花期には高さ30ｃｍほどになる多年草で、花期は5～6月です。
山地～低山の草地、林縁、明るい林内などに生えます。
通常花茎の上部に白い毛があります。
総苞片は反り返りません。
頭花の径は４ｃｍほどです。
開花前の舌状花が、うずまき状に折りたたまれているのも特徴です。
セイヨウタンポポ（帰）
キク科キクニガナ亜科タンポポ属セイヨウタンポポ
高さ10～25ｃｍになる多年草で、花期は4～6月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地などに生えます。
総苞外片が反り返ることで在来種のタンポポと区別します。
ヤブタビラコ属
ヤブタビラコ
キク科キクニガナ亜科ヤブタビラコ属ヤブタビラコ
高さ30ｃｍほどになる軟弱な２年草で、花期は５～６月です。
湿っぽい林内や道端などに生えます。
細い茎を四方に伸ばしますが、よく倒れたりし全体が無毛です。
根出葉と下部の葉は羽状に裂けますが、頂羽片が特に大きいです。
頭花は舌状花のみで径7～8ｍｍです。
花が終わると下向きになり、果実には冠毛がありません。
アキノノゲシ（チシャ）属
ヤマニガナ
キク科キクニガナ亜科アキノノゲシ属ヤマニガナ
高いもので2ｍ近くになる２年草で、花期は８～９月です。
山地の林縁、道端などに生えます。
葉の変異は大きいですが、概ね矢じり形です。基部は広い翼のある柄状ですが茎は抱きません。
下部の葉は羽状に切れ込むことが多いです。
頭花は円錐花序に多数つき、径１ｃｍほどです。
アキノノゲシ（帰）
キク科キクニガナ亜科アキノノゲシ属アキノノゲシ
高さ50～200ｃｍになる２年草で、花期は８～９月です。
低地～山地の日当たりの良い場所に生えます。
葉は薄緑色で柄は無く、下部の葉は長さ30ｃｍほどになって羽状に深裂しますが、上部の葉は切れ込みません。
茎の上部から多数の枝を出し、舌状花のみからなる径2.5ｃｍほどの頭花を多数つけます。
舌状花は通常淡黄色、時に白色や薄紫色になります。
ノゲシ属
ハチジョウナ
キク科キクニガナ亜科ノゲシ属ハチジョウナ
高いもので1ｍほどになる多年草で、花期は8～9月です。
道端や海岸近くの草地に生えます。
葉は長楕円形で、浅く羽状にへこむ場合があります。
頭花は舌状花のみからなり、径は3.5ｃｍほどです。
総苞は綿毛に被われます。
ノゲシ（帰）
キク科キクニガナ亜科ノゲシ属ノゲシ
高いもので１ｍほどになる２年草で、花期は６月～９月です。
日本には有史以前に中国経由で入った種と推定され、道端や空き地に生えます。
葉は羽状に深く切れ込み、不規則に刺状の鋸歯があります。
下部は耳状になって茎を抱き、裂片の先は鋭く尖ります。
頭花の径は2ｃｍほどで、多数の舌状花のみからなります。
オニノゲシ（帰）
キク科キクニガナ亜科ノゲシ属オニノゲシ
高いもので1ｍほどになる1～2年草で、花期は6～9月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地などに生えます。
葉はやや硬く光沢があり、縮れています。
葉の形は全縁から羽状深裂するものまで様々で、縁には先が刺となった鋸歯があります。
葉の下部は耳状となって茎を抱きますが、先は反り返るように丸まって尖りません。
頭花の径は２ｃｍほどで、舌状花のみからなります。
ヤナギタンポポ属
ヤナギタンポポ
キク科キクニガナ亜科ヤナギタンポポ属ヤナギタンポポ
高さ40～80ｃｍの多年草で、花期は8～９月です。
草原や山地の陽当たりの良い湿った場所に生えます。
茎葉は多数つき、柳の葉のような線状披針形です。長さ5～10ｃｍで縁に突起が1～3対あります。
頭花は舌状花のみからなり、径2.5～3.5ｃｍです。
コウリンタンポポ属
コウリンタンポポ（帰）
キク科キクニガナ亜科コウリンタンポポ属コウリンタンポポ
高さ20～50ｃｍの多年草で、花期は６月下旬～８月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地などに生えます。
長いへら形の葉が根元に集まり、剛毛が生えます。
舌状花のみからなる径２ｃｍほどの頭花が上向きに多数つきます。
総苞片には黒い毛が多いです。
コウリンは「紅輪」と書きます。
ブタナ属
ブタナ（帰）
キク科キクニガナ亜科ブタナ属ブタナ
高さ20～50ｃｍの多年草で、花期は６月下旬～９月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地などに生えます。
葉は根元につき、タンポポのような切れ込みがありますが浅く不揃いです。
全体に褐色の剛毛が生えます。
頭花は舌状花のみからなり、径3ｃｍほどです。
フランスでの俗名「ブタのサラダ」からブタナの名前がつきました。
タンポポモドキとも呼ばれていましたが、これは他の植物にも使われている名前のため、ブタナと呼んだ方が良いようです。
コウゾリナ属
コウゾリナ
キク科キクニガナ亜科コウゾリナ属コウゾリナ
高さ30～150ｃｍの多年草で、花期は7～9月です。
野山や道端の日当たりの良い場所に生えます。
全体に剛毛があり、触れると切れの悪いカミソリのようにざらつくことから、コウゾリナ（カミソリ菜）の名前がつきました。
ロゼット形の根出葉は花期には枯れています。
茎葉は互生し、倒披針形です。
頭花は舌状花のみからなり、径2.5ｃｍほどです。
