原始的な被子植物

初期分枝双子葉植物

近年のDNA分析によって、原始的な被子植物というものが明らかになってきました。

被子植物とは、簡単に言えば「花を咲かせる植物」のことです。

世界で最も原始的な被子植物は、ニューカレドニア島の固有種アンボレラ目アンボレラ科アンボレラという植物だそうです。

アンボレラ目に続いて被子植物の系統樹から分岐したのは、日本にも自生するスイレン目の植物です。

スイレン目に続いて分岐したのが、シキミ目の植物になります。

次に分岐したのがセンリョウ類(センリョウ目)、モクレン類(モクレン目、コショウ目、クスノキ目、カネラ目)、単子葉植物の3群になります。この3群の分岐順序はまだ明らかになっていません。

北海道に生えている原始的な被子植物について、まとめてみました。

スイレン目

日本に自生するスイレン目の植物は、スイレン科とジュンサイ科のものです。

北海道に自生する種はヒツジグサコウホネ(とネムロコウホネ)、ジュンサイになります。

ヒツジグサ

スイレン目スイレン科スイレン属ヒツジグサ

7月2日 大沼公園

ヒツジグサは多年生の水草で、花期は7-8月です。

花は径5cm前後で、がく片が4枚、花弁が多数あります。

また、雄しべも雌しべも多数あります。

7月3日 大沼公園

ヒツジグサの名前の由来は、未の刻(午後2時)にこの花が咲き始めることによるとされていますが、普通に午前中には咲いています。夜には花を閉じているそうです。

7月2日 大沼公園

普通に見ただけではわかりませんが、花弁も雄しべもらせん状に付いているそうです。

花は2~3日咲きますが、前半は雌しべが成熟する雌性期、後半は雄しべが成熟する雄性期となるそうです。

コウホネ

スイレン目スイレン科コウホネ属コウホネ

コウホネは水中に生える多年草で、花期は6-7月です。

コウホネ 7月2日 大沼公園

花は径4-5cmで花弁状のがく片が5枚、小さな花弁が多数あります。
葉は水面上に突き出て、長さ20-30cmほどです。

ネムロコウホネ 7月9日 大沼公園

ネムロコウホネの葉は、水面に浮かび空中に突き出ないのが特徴です。

シキミ目

日本にはマツブサ科のシキミ属、サネカズラ属、マツブサ属が自生します。

北海道にはマツブサ属のチョウセンゴミシマツブサが自生します。

チョウセンゴミシもマツブサもつる性の木本植物らしいですが、私はまだ見たことがありません。

センリョウ目

日本には、センリョウ科チャラン属のヒトリシズカとフタリシズカ、センリョウ属のセンリョウが自生します。

このうち北海道には、ヒトリシズカフタリシズカが自生します。

フタリシズカ

センリョウ目センリョウ科チャラン属フタリシズカ

フタリシズカは高さ30-50cmの多年草で、花期は5-6月です。

茎頂に長さ3-5cmの花穂を1-4本(2本のことが多い)付けます。

フタリシズカ
6月19日 函館山

花には花弁とがく片が無く、雄しべの花糸が拳状となって中に葯と雌しべを包んでいます。

フタリシズカの花
6月6日 函館山
フタリシズカの果実
7月11日 函館山

ヒトリシズカ

センリョウ目センリョウ科チャラン属ヒトリシズカ

開花後茎が伸びて高さ15~30cmになる多年草で、花期は4~5月です。

低地~山地の明るい林内に生えます。

4月26日 函館山

茎の上端に2対の葉が接して十字対生するので、輪生状に見えます。

葉身は卵形~楕円形で光沢があり、縁には鋭い鋸歯があります。

4月26日 函館山

茎頂に長さ2~3cmの花穂が1本つきます。

花弁とがく片は無く、花糸(雄しべ)3本と雌しべ1個で花を作っています。白い花糸の根元に黄色の葯があります。

4月26日 函館山
ヒトリシズカ
4月26日 函館山

下の写真は花糸が枯れた後です。花糸に隠れていた雌しべの様子がわかります。

花糸が枯れたヒトリシズカ
5月2日 函館山

モクレン目

日本に自生するモクレン目の植物は、モクレン科のもののみです。

北海道には、モクレン属のキタコブシタムシバホオノキが自生します。

公園樹として植えられているユリノキは、モクレン科ユリノキ属の樹木です。

ホオノキ

コショウ目

日本に自生するコショウ目の植物は、ドクダミ科、コショウ科、ウマノスズクサ科のものです。

北海道には、ウマノスズクサ科カンアオイ属のオクエゾサイシンが自生します。また本州からの移入種とされるドクダミが野生化しています。

ドクダミ

コショウ目ドクダミ科ドクダミ属ドクダミ

ドクダミは高さ20-50cmの悪臭のある多年草で、花期は6-8月です。

悪臭は揮発性の精油成分によるもので、抗菌作用があります。

ドクダミ
7月24日 厚沢部町

白い花弁のように見えるものは苞で、花弁ではありません。

花は長さ1-3cmの穂状で、花が多数付きます。花被片(花弁とがく片)はありません。

7月9日 江差町
ドクダミの花
7月24日 厚沢部町

地下茎を伸ばし、大群落を作ることもあります。

7月9日 江差町

ドクという名前が付きますが無毒で、古くから生薬として利用されてた植物です。

クスノキ目

日本に自生するクスノキ目の植物は、クスノキ科とハスノハギリ科のものです。ロウバイ科のロウバイは江戸時代に日本に渡来したようです。

このうち北海道に自生する種は、クスノキ科クロモジ属オオバクロモジです。

オオバクロモジ

クスノキ目クスノキ科クロモジ属オオバクロモジ

雌雄異株の落葉低木で、花期は5月です。北海道では道南地方に分布しています。

オオバクロモジの幼木
4月26日 函館山

葉は長楕円形で長さ8~12cm、全縁で基部はくさび形です。

オオバクロモジの葉
5月2日 函館市
オオバクロモジ
4月26日 函館山
5月10日 奥尻町

花は径5-8mmで、花被片は6枚です。雄花には雄しべが9本あります。

オオバクロモジ雄花
雄花 5月10日 奥尻町
オオバクロモジ雄花
雄花 4月26日 函館山
オオバクロモジ雌花
雌花 5月2日 函館市
オオバクロモジ雌花
雌花 5月2日 函館市
オオバクロモジの葉
黄葉 10月26日 厚沢部町
オオバクロモジの冬芽
冬芽 10月26日 厚沢部町

シキミ目、センリョウ目、モクレン目、クスノキ目、カネラ目、コショウ目の植物には精油を作るという共通点があります。これらの植物が花を咲かせ始めた頃、花粉を運ぶのは固いアゴを持ち花の本体まで食べようとする甲虫類だったので、精油はこれらの虫に対する食害対策だったと考えられています。

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