マメ科植物は世界に約750属約17000種あるとされており、多様で繫栄している植物群の一つです。
根に根粒菌という細菌を共生させている種も多く、それらの種は自ら窒素肥料を作ることができるので、やせている土地でも繁殖します。日本に帰化して繁殖している種が多いのはこのためです。
マメ科は5亜科に分かれるのですが、このうち日本に自生しているのはほとんどジャケツイバラ亜科とマメ亜科の植物になります。他の3亜科は熱帯~亜熱帯に分布しています。
マメ亜科の花は蝶形花という特徴的な花です。
上に旗弁1枚、中に翼弁2枚、下に竜骨弁2枚の計5枚の花弁を持ちます。
陽当たりの良い場所に育つ種がほとんどで、つる性の種も多いです。
ネムノキ属
ネムノキ(栽)
マメ目マメ科ジャケツイバラ亜科ネムノキ属ネムノキ
高さ5~7mの落葉樹で、花期は8月です。
北海道には自生しておらず、庭や公園に植えられています。
花弁は長さ約8mm、花糸(雄しべ)は3.5cmほどで花弁よりも目立ちます。
夜になると葉が閉じて、眠っているようにみえることからネムノキの名前がつきました。
まめ型の果実は長さ約10cmで、10~11月に成熟します。
イヌエンジュ属
イヌエンジュ
マメ目マメ科マメ亜科イヌエンジュ属イヌエンジュ
高さ15mほどになる落葉樹で、花期は7~8月です。
葉は羽状複葉で長さ20~30cmです。小葉は7~13枚あります。
花は複総状花序に径1cmほどの蝶形花を多数つけます。
クロバナエンジュ属
イタチハギ(帰)
マメ目マメ科マメ亜科イタチハギ属イタチハギ
高さ約3mの北アメリカ原産の落葉樹で、花期は6~7月です。
乾燥や高温に強く、土壌固定力も強いため砂防用に植えられ、一部は野生化しています。
枝先の総状花序に、暗褐色で長さ約8mmの蝶形花を多数つけます。
花序の様子がイタチの尾のように見えるハギの仲間という意味で、イタチハギの名前がついたようです。
豆果は長さ約8mmで、10月に褐色に熟します。
ヤブマメ属
ヤブマメ(ウスバヤブマメ)
マメ目マメ科マメ亜科ヤブマメ属ヤブマメ
他のものに絡んで伸び、長さが約1m近くになるつる性の多年草で、花期は8~9月です。
野山の草地や林縁に生えます。
葉は3出複葉です。
花は花序に数個つき、長さ1.5~2cmの蝶形花です。別に小さな閉鎖花が葉腋につきます。
道内のヤブマメは変種ウスバヤブマメとする見解もあります。
エニシダ属
エニシダ(栽)
マメ目マメ科マメ亜科エニシダ属エニシダ
高さ約3mのヨーロッパ原産の落葉樹で、庭などに植えられています。
花は長さ約2cmで、花期は5~6月です。
葉は3出複葉で、花枝は側小葉が退化して頂小葉だけになります。
イワオウギ属
カラフトゲンゲ
マメ目マメ科マメ亜科イワオウギ属カラフトゲンゲ
高さ15~40cmの多年草で、花期は6~8月です。
礼文島・大雪山・日高山脈の高山れき地や草地に生えます。
葉は奇数羽状複葉で、小葉は13~17枚つきます。
葉腋から総状花序を出して、長さ1.5~2cmの蝶形花を密につけます。
ヌスビトハギ属
ヤブハギ
マメ目マメ科マメ亜科ヌスビトハギ属ヌスビトハギ
高さ60~100cmの多年草で、花期は7~9月です。
林縁や山道沿いなど、明るい場所に生えます。
花は総状花序にまばらにつき、長は3~4mmの蝶形花です。
葉は長い柄のある3出複葉で、互生しますが茎の下部に集中します。葉は薄く無毛です。
果実は種子が入った部分が半円形に区切られ、1~3個が連なります。
鉤毛があって、人の衣服や動物に付着して運ばれます。
よく似た変種ヌスビトハギの葉は、一部に集中してつきません。
見分けるのは困難ですが、函館山で見た下の写真の個体は、葉が茎の中部~上部にもついているのでヌスビトハギなのではないかと思います。
レンリソウ属
ハマエンドウ
マメ目マメ科マメ亜科レンリソウ属ハマエンドウ
地面を這って長さ20~60cmになる多年草で、花期は5~6月です。
海岸の砂地やれき地に生えます。
葉は羽状複葉で、小葉は8~12枚です。
花は蝶形花で長さ2.5~3cmになります。
エゾノレンリソウ
マメ目マメ科マメ亜科レンリソウ属エゾノレンリソウ
高さ30~80cmになる多年草で、花期は6~9月です。
湿地や湿った草地に生えます。
巻きひげで他の植物に絡みながら伸びます。
葉は羽状複葉で、小葉は3~4対です。
花は長い柄の先にまばらにつき、長さ2cmほどです。
ハギ属
エゾヤマハギ(ヤマハギ)
マメ目マメ科マメ亜科ハギ属エゾヤマハギ
高さ約2mの落葉樹で、花期は8~9月です。
総状花序に、長さ約1.5cmの蝶形花をつけます。
葉は3出複葉です。
果実は長さ1cmほどの平たい楕円形で、10月頃に成熟します。
メドハギ
マメ目マメ科マメ亜科ハギ属メドハギ
高さ50~100cmの多年草で、花期は8~9月です。
土手や道路の法面、河原など陽当たりの良い場所に生えます。
茎は直立して多数の葉をつけます。
葉は3出複葉で、小葉は角ばったへら形です。
花は葉腋に集まってつき、蝶形花の長さは6~7mmです。
閉鎖花をつける場合も多いです。
ハウチワマメ属
ルピナス(ラッセルルピナス;帰)
マメ目マメ科マメ亜科ハウチワマメ属ルピナス
高さ1mほどの北アメリカ原産の多年草で、花期は6~7月です。
葉は根元から出る長い柄の先につき、車状に分裂します。
花は総状で長さ40~70cmになり、蝶形花が密に多数つきます。
園芸種が野生化したもので、花色は青紫、桃、白、黄など多彩です。
オヤマノエンドウ属
レブンソウ
マメ目マメ科マメ亜科オヤマノエンドウ属レブンソウ
高さ10~25cmの多年草で、花期は6~8月です。
礼文島のれき地や草地に生えます。
葉は奇数羽状複葉で小葉は8~11対で、裏面に毛が密生します。
花は長さ2cmほどの蝶形花で、総状に5~15個つきます。
がくは長さ1cmほどで長白毛が密生します。
ミヤコグサ属
ミヤコグサ
マメ目マメ科マメ亜科ミヤコグサ属ミヤコグサ
茎がよく分岐し、斜上して長さ40cmくらいになる多年草で、花期は6~7月です。
葉はひし形の3小葉に分かれていますが、基部に大きな托葉があるので5小葉に見えます。
花は蝶形花で枝先に1~2個つきます。
河原や海岸近くの草地に生え、大群落を作っていることが多いです。
セイヨウミヤコグサ(帰)
マメ目マメ科マメ亜科ミヤコグサ属セイヨウミヤコグサ
高さ15~35cmになる多年草で、花期は6~7月です。
原産地がユーラシア・アフリカの帰化植物です。
花は枝先に3~7個まとまってつきます。
茎と葉に毛があることも、ミヤコグサと見分けるポイントになります。
ハリエンジュ属
ハリエンジュ(ニセアカシア;栽)
マメ目マメ科マメ亜科ハリエンジュ属ハリエンジュ
高さ20mほどになる北アメリカ原産の落葉樹です。
街路樹や蜜源植物、砂防用として植えられていますが、繁殖力が強いため野生化したものもよく見かけます。
枝にはトゲがあり、葉は奇数羽状複葉です。
下垂する長さ10cmほどの総状花序に、径約2cmの蝶形花を多数つけます。
センダイハギ属
センダイハギ
マメ目マメ科マメ亜科センダイハギ属センダイハギ
高さ40~80cmになる多年草で、花期は6~7月です。
海岸の砂丘や草地によく生えます。
葉は3出複葉で、基部に小葉と同じくらいの大きさの托葉が1対あります。
花は総状花序に多数つき、蝶形で長さ2cmほどです。
シャジクソウ属
シロツメクサ(帰)
マメ目マメ科マメ亜科シャジクソウ属シロツメクサ
高さ15~30cmになる多年草で、花期は5~8月です。
葉は3出複葉で、先が浅くへこみます。
花は葉腋から出る柄の先につき、多数の蝶形花が球状に集まって咲きます。
ムラサキツメクサ(帰)
マメ目マメ科マメ亜科シャジクソウ属ムラサキツメクサ
ヨーロッパ原産の高さ20~60cmの多年草で、花期は5~10月です。
葉は3出複葉で、葉柄基部に大きな托葉がつきます。
花は多数の蝶形花が球状に集まって咲きます。
コメツブメクサ(帰)
マメ目マメ科マメ亜科シャジクソウ属コメツブツメクサ
高さ20~40cmになる1年草で、花期は5~6月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端などに生えます。
花序は径7mmほどで、長さ3~4mmの花が集まってつきます。
ソラマメ属
クサフジ
マメ目マメ科マメ亜科ソラマメ属クサフジ
長さ1.5mほどになるつる性の多年草で、花期は7月~8月です。
低地~山地の日当たりの良い場所に生えます。
葉は羽状複葉で、先端が巻きひげとなり、小葉は9~12対あります。
葉身は披針形~広線形で長さ1.5~3cm、幅2~6mmです。
花は総状花序に密に多数つき、長さ1cmほどの蝶形花です。
ヒロハクサフジ
マメ目マメ科マメ亜科ソラマメ属ヒロハクサフジ
茎の長さ30~100cmになるつる性の多年草で、花期は6月下旬~9月です。
海岸の草地やれき地に生えます。
葉は羽状複葉で、先端は巻きひげとなり、小葉は5~8対あります。
葉身は長さ1~2cm、幅5~10mmの長楕円形で先は円いです。
長さ2~3cmの総状花序に、蝶形花が密につきます。
奥尻町では白花のヒロハクサフジも見かけました。
ナンテンハギ
マメ目マメ科マメ亜科ソラマメ属ナンテンハギ
高さ40~100cmの多年草で、花期は6~7月です。
野山の草地や林縁に生えます。
葉は2、時に3小葉からなる複葉で、葉柄基部に托葉があります。
葉の形がナンテンに似ていることから、ナンテンハギの名前がついたそうです。
花は総状につき、長さ1~1.5cmの蝶形花です。
果実は長さ2.5~3cmの豆果です。
フジ属
フジ(栽)
マメ目マメ科マメ亜科フジ属フジ
庭などに植えられるつる性の落葉樹で、花期は5~6月です。
北海道には自生しておらず、道内で見られるものは本州から移入されたフジです。
葉は奇数羽状複葉で、小葉は11~19枚です。
花は長さ20~30cmの花序に、蝶形花を多数つけます。
果実は長さ12~20cmの豆果で、10月に成熟します。