バラ科の植物は、世界に75~90属約3000種あるとされています。
バラ科はチョウノスケソウ亜科・サクラ亜科・バラ亜科の3亜科に分かれ、このうちサクラ亜科は約60属900種あるとされています。
サクラやリンゴ、ナナカマド、シモツケの仲間がサクラ亜科に属します(ただし草本植物オニシモツケはバラ亜科です)。
果実を食用として利用する種が多く、アーモンド、ビワ、マルメロ、アンズ、ウメ、ナシなどもサクラ亜科の植物になります。
参考図書 「新維管束植物分類表」米倉浩司 「新北海道の花」梅沢俊 ほか

サクラ属
エゾヤマザクラ
バラ目バラ科サクラ亜科サクラ属エゾヤマザクラ

山地に生える落葉樹で、高さ約20mになります。

北海道の代表的なサクラで、5月に葉が開くと同時に開花し、ピンク色の花を咲かせます。

花は径3cm前後で花弁は5枚、花柄は赤色で無毛です。


果実は球形で径5~7mmです。6~7月に黒紫色に熟します。




カスミザクラ
バラ目バラ科サクラ亜科サクラ属カスミザクラ
山地に生える落葉樹で、高さは15mほどになります。
花は淡紅色~白色で、径3cmくらいです。5月下旬ごろ葉が開くと同時に開花します。



果実は約6mmの球形で、7月に黒紫色に熟します。






チシマザクラ
バラ目バラ科サクラ亜科サクラ属チシマザクラ
山地~亜高山に生える落葉樹で、高さ3~5mになります。

花は淡紅色~白色で径2~2.5cmです。5~6月に葉と同時に開花します。


ミヤマザクラ
バラ目バラ科サクラ亜科サクラ属ミヤマザクラ
山地に生える落葉樹で、高さ15mほどになります。

葉は倒卵状楕円形で長さ7~12cmです。先は尾状にとがり、縁には粗い鋸歯があります。腺点は葉柄の上部にあります。


花は淡紅色~白色で径2.5~3.5cmです。5月下旬ごろ葉と同時に開花します。

果実は径5~7mmの球形で、7~8月に赤紫色に熟します。






ウワミズザクラ属
ウワミズザクラ
バラ目バラ科サクラ亜科ウワミズザクラ属ウワミズザクラ
山地に生える落葉樹で、高さは15mほどになります。

葉は長楕円形で長さ8~11cm、先は尖り基部は円形です。葉の縁には刺状の鋸歯があります。

花は径約1cmの白花で、総状花序に多数つきます。
花弁は5枚で、5月下旬~6月に開花します。








リンゴ属
エゾノコリンゴ
バラ目バラ科サクラ亜科リンゴ属エゾノコリンゴ
海岸から山地まで生える落葉樹で、高さ10mほどになります。

花は4~6個まとまってつき、白色で径3cm前後です。
5月下旬~6月に開花します。

エゾノコリンゴの葉

エゾノコリンゴの冬芽

エゾノコリンゴの冬芽
ズミ(コリンゴ)
バラ目バラ科サクラ亜科リンゴ属ズミ
山地や原野のやや湿った場所に生える落葉樹で、高さ2~10mになります。

花は径2.5~3cmの白色で、5~7個まとまってつきます。
5月下旬~6月に開花します。

短枝につく葉は、3~5中裂するものがあります。

果実は径6~10mmの球形で、9~10月に濃紅色に熟します。






果実が黄色に熟す品種をキミノズミといいます。

アズキナシ属
アズキナシ
バラ目バラ科サクラ亜科アズキナシ属アズキナシ
高さ10~15mになる落葉樹です。

葉は互生し、長さ6~10cmで、先は尖り縁は重鋸歯です。
側脈は8~12対あり、まっすぐに伸びます。

花は散房状花序につき、5~6月に開花します。

花の径は1~1.5cmで、花弁は5枚あります。

果実は長卵形~楕円形で長さ6~10mmです。9~10月に赤く熟します。






ナナカマド属
ナナカマド
バラ目バラ科サクラ亜科ナナカマド属ナナカマド
山地に生える落葉樹で、高さ10~15mになります。

葉は奇数羽状複葉で、秋には紅葉します。


花は径1cm位の白色で、複散房状花序にまとまってつきます。


花弁は5枚で、6月に開花します。

果実は径約6mmの球形で、9~10月に赤く熟し、落葉後も枝に残ります。





シモツケ属
マルバシモツケ
バラ目バラ科サクラ亜科シモツケ属マルバシモツケ
日当たりの良い高山や山地の岩場などに生える落葉樹で、高さ0.5~1mになります。

複散房花序に、径約7mmの白色の花を多数つけます。
花弁は5枚で、6~7月に開花します。
-1024x819.jpg)
カナメモチ属
ワタゲカマツカ
バラ目バラ科サクラ亜科カナメモチ属ワタゲカマツカ
山地に生える落葉樹で、高さは5mくらいになります。
北海道では日高以南に分布しています。


葉は互生し、倒卵状楕円形で縁には鋸歯があります。質が厚く内側に向かってやや巻きます。


花は径1.4cmほどで、複散形花序に多数つきます。

花弁は5枚で、花期は5月下旬~6月上旬です。




果実は楕円形で長さ6~7mmです。9~10月に赤く熟します。




ボケ属
ボケ(帰)
バラ目バラ科サクラ亜科ボケ属ボケ
中国原産の落葉樹で、高さ1~2mになります。
日本には平安時代に渡来し、観賞用に植栽されたものが一部野生化しています。

花は径3cm前後で、雄花と雌花があります。色は赤、ピンク、白など多彩で5月に開花します。

葉の付け根には腎臓型の托葉がつきます。


クサボケ(帰)
バラ目バラ科サクラ亜科ボケ属クサボケ
高さ30~100cmの落葉樹で、幹は地面を這うか斜上します。
本州の関東地方以西、四国、九州に分布する種ですが、こちらの写真は七飯町大沼公園小沼付近で撮影しました。本州から移入されたものが、野生化したと思われます。

花は径約2.5cmで、雄花と雌花があります。朱赤色で花弁は5枚、雄しべは多数つきます。
雌花の花柱(雌しべ)は5個あるそうです。5月に開花します。

葉は短枝に輪生、長枝に互生します。ボケとは違い托葉はありません。
ヤマブキショウマ属
ヤマブキショウマ
バラ目バラ科サクラ亜科ヤマブキショウマ属ヤマブキショウマ
高さ30~100cmの雌雄異株の多年草で、花期は6~7月です。


葉は2回3出複葉で、葉脈は平行的に並び、先は鋭くとがります。
葉の縁は重鋸歯です。


花は円錐状総状花序に多数つき、5枚の花弁の長さは1.5mmほどです。
雄花の雄しべは20本ほどで花外に突出しており、雌花の雌しべは普通3個です。






