バラ類マメ目マメ科の植物

マメ目

マメ科植物は世界に約750属約17000種あるとされており、多様で繫栄している植物群の一つです。

根に根粒菌という細菌を共生させている種も多く、それらの種は自ら窒素肥料を作ることができるので、やせている土地でも繁殖します。日本に帰化して繁殖している種が多いのはこのためです。

マメ科は5亜科に分かれるのですが、このうち日本に自生しているのはほとんどジャケツイバラ亜科とマメ亜科の植物になります。他の3亜科は熱帯~亜熱帯に分布しています。

マメ亜科の花は蝶形花という特徴的な花です。
上に旗弁1枚、中に翼弁2枚、下に竜骨弁2枚の計5枚の花弁を持ちます。

陽当たりの良い場所に育つ種がほとんどで、つる性の種も多いです。

ネムノキ属

ネムノキ(栽)

マメ目マメ科ジャケツイバラ亜科ネムノキ属ネムノキ

高さ5~7mの落葉樹で、花期は8月です。

北海道には自生しておらず、庭や公園に植えられています。

ネムノキ
8月17日 江差町

花弁は長さ約8mm、花糸(雄しべ)は3.5cmほどで花弁よりも目立ちます。

ネムノキの花
8月17日 江差町

夜になると葉が閉じて、眠っているようにみえることからネムノキの名前がつきました。

まめ型の果実は長さ約10cmで、10~11月に成熟します。

ネムノキの実
9月13日 江差町

クロバナエンジュ属

イタチハギ(帰)

マメ目マメ科マメ亜科イタチハギ属イタチハギ

高さ約3mの北アメリカ原産の落葉樹で、花期は6~7月です。

乾燥や高温に強く、土壌固定力も強いため砂防用に植えられ、一部は野生化しています。

イタチハギ
7月4日 江差町

枝先の総状花序に、暗褐色で長さ約8mmの蝶形花を多数つけます。

イタチハギの花
7月4日 江差町

花序の様子がイタチの尾のように見えるハギの仲間という意味で、イタチハギの名前がついたようです。

イタチハギのつぼみ
イタチハギのつぼみ 6月13日 江差町
イタチハギの花序
6月26日 江差町

豆果は長さ約8mmで、10月に褐色に熟します。

イタチハギの実
イタチハギの果実 9月13日 江差町

ヤブマメ属

ヤブマメ(ウスバヤブマメ)

マメ目マメ科マメ亜科ヤブマメ属ヤブマメ

他のものに絡んで伸び、長さが約1m近くになるつる性の多年草で、花期は8~9月です。

野山の草地や林縁に生えます。

9月7日 厚沢部町

葉は3出複葉です。

花は花序に数個つき、長さ1.5~2cmの蝶形花です。

別に小さな閉鎖花が葉腋につきます。

9月7日 厚沢部町

道内のヤブマメは変種ウスバヤブマメとする見解もあります。

エニシダ属

エニシダ(栽)

マメ目マメ科マメ亜科エニシダ属エニシダ

高さ約3mのヨーロッパ原産の落葉樹で、庭などに植えられています。

エニシダ
6月20日 江差町

花は長さ約2cmで、花期は5~6月です。

エニシダ
6月20日 江差町

葉は3出複葉で、花枝は側小葉が退化して頂小葉だけになります。

イワオウギ属

カラフトゲンゲ

マメ目マメ科マメ亜科イワオウギ属カラフトゲンゲ

高さ15~40cmの多年草で、花期は6~8月です。

礼文島・大雪山・日高山脈の高山れき地や草地に生えます。

カラフトゲンゲ
7月24日 礼文町

葉は奇数羽状複葉で、小葉は13~17枚つきます。

葉腋から総状花序を出して、長さ1.5~2cmの蝶形花を密につけます。

カラフトゲンゲ
7月24日 礼文町

ヌスビトハギ属

ヤブハギ

マメ目マメ科マメ亜科ヌスビトハギ属ヌスビトハギ

高さ60~100cmの多年草で、花期は7~9月です。

林縁や山道沿いなど、明るい場所に生えます。

ヤブハギ
7月9日 七飯町

花は総状花序にまばらにつき、長は3~4mmの蝶形花です。

ヤブハギの花
7月9日 七飯町

葉は長い柄のある3出複葉で、互生しますが茎の下部に集中します。

葉は薄く無毛です。

ヤブハギの葉
7月9日 七飯町
10月12日 七飯町

果実は種子が入った部分が半円形に区切られ、1~3個が連なります。

鉤毛があって、人の衣服や動物に付着して運ばれます。

10月12日 七飯町

よく似た変種ヌスビトハギの葉は、一部に集中してつかず、細かい毛があります。

ヌスビトハギ 10月15日 函館山

レンリソウ属

ハマエンドウ

マメ目マメ科マメ亜科レンリソウ属ハマエンドウ

地面を這って長さ20~60cmになる多年草で、花期は5~6月です。

海岸の砂地やれき地に生えます。

ハマエンドウ
6月5日 江差町

葉は羽状複葉で、小葉は8~12枚です。

ハマエンドウの葉
6月24日 乙部町

花は蝶形花で長さ2.5~3cmになります。

ハマエンドウ
6月5日 江差町
ハマエンドウのつぼみ
つぼみ 5月26日 江差町

エゾノレンリソウ

マメ目マメ科マメ亜科レンリソウ属エゾノレンリソウ

高さ30~80cmになる多年草で、花期は6~9月です。

湿地や湿った草地に生えます。

エゾノレンリソウ
7月4日 江差町

巻きひげで他の植物に絡みながら伸びます。

7月10日 江差町

葉は羽状複葉で、小葉は3~4対です。

花は長い柄の先にまばらにつき、長さ2cmほどです。

エゾノレンリソウの花
7月10日 江差町

ハギ属

エゾヤマハギ(ヤマハギ)

マメ目マメ科マメ亜科ハギ属エゾヤマハギ

高さ約2mの落葉樹で、花期は8~9月です。

エゾヤマハギ
9月14日 厚沢部町

総状花序に、長さ約1.5cmの蝶形花を10個ほどつけます。

エゾヤマハギ
9月14日 厚沢部町

葉は3出複葉です。

10月15日 函館山

果実は長さ1cmほどの平たい楕円形で、10月頃に成熟します。

ヤマハギの葉と果実
果実をつけた木 10月15日 函館山

メドハギ

マメ目マメ科マメ亜科ハギ属メドハギ

高さ50~100cmの多年草で、花期は8~9月です。

土手や道路の法面、河原など陽当たりの良い場所に生えます。

9月14日 厚沢部町

茎は直立して多数の葉をつけます。

葉は3出複葉で、小葉は角ばったへら形です。

9月14日 厚沢部町

花は葉腋に集まってつき、蝶形花の長さは6~7mmです。

閉鎖花をつける場合も多いです。

9月14日 厚沢部町

ハウチワマメ属

ルピナス(ラッセルルピナス;帰)

マメ目マメ科マメ亜科ハウチワマメ属ルピナス

高さ1mほどの北アメリカ原産の多年草で、花期は6~7月です。

ルピナス
7月2日 大沼公園

葉は根元から出る長い柄の先につき、車状に分裂します。

花は総状で長さ40~70cmになり、蝶形花が密に多数つきます。

ルピナス
7月2日 大沼公園

園芸種が野生化したもので、花色は青紫、桃、白、黄など多彩です。

オヤマノエンドウ属

レブンソウ

マメ目マメ科マメ亜科オヤマノエンドウ属レブンソウ

高さ10~25cmの多年草で、花期は6~8月です。

礼文島のれき地や草地に生えます。

レブンソウ
8月11日 礼文町

葉は奇数羽状複葉で小葉は8~11対で、裏面に毛が密生します。

花は長さ2cmほどの蝶形花で、総状に5~15個つきます。

がくは長さ1cmほどで長白毛が密生します。

レブンソウ
8月11日 礼文町

ミヤコグサ属

ミヤコグサ

マメ目マメ科マメ亜科ミヤコグサ属ミヤコグサ

茎がよく分岐し、斜上して長さ40cmくらいになる多年草で、花期は6~7月です。

6月23日 江差町

葉はひし形の3小葉に分かれていますが、基部に大きな托葉があるので5小葉に見えます。

花は蝶形花で枝先に1~2個つきます。

6月23日 江差町
6月23日 江差町

河原や海岸近くの草地に生え、大群落を作っていることが多いです。

ミヤコグサ群落
6月24日 乙部町

セイヨウミヤコグサ(帰)

マメ目マメ科マメ亜科ミヤコグサ属セイヨウミヤコグサ

高さ15~35cmになる多年草で、花期は6~7月です。

原産地がユーラシア・アフリカの帰化植物です。

セイヨウミヤコグサ
6月19日 函館山

花は枝先に3~7個まとまってつきます。

セイヨウミヤコグサの花
6月19日 函館山

茎と葉に毛があることも、ミヤコグサと見分けるポイントになります。

ハリエンジュ属

ハリエンジュ(ニセアカシア;栽)

マメ目マメ科マメ亜科ハリエンジュ属ハリエンジュ

高さ20mほどになる北アメリカ原産の落葉樹です。

街路樹や蜜源植物、砂防用として植えられていますが、繁殖力が強いため野生化したものもよく見かけます。

ハリエンジュ
7月6日 厚沢部町

枝にはトゲがあり、葉は奇数羽状複葉です。

ハリエンジュ
7月6日 厚沢部町

下垂する長さ10cmほどの総状花序に、径約2cmの蝶形花を多数つけます。

センダイハギ属

センダイハギ

マメ目マメ科マメ亜科センダイハギ属センダイハギ

高さ40~80cmになる多年草で、花期は6~7月です。

海岸の砂丘や草地によく生えます。

センダイハギ
5月19日 江差町

葉は3出複葉で、基部に小葉と同じくらいの大きさの托葉が1対あります。

花は総状花序に多数つき、蝶形で長さ2cmほどです。

センダイハギの花
5月19日 江差町

シャジクソウ属

シロツメクサ(帰)

マメ目マメ科マメ亜科シャジクソウ属シロツメクサ

高さ15~30cmになる多年草で、花期は5~8月です。

シロツメクサ
6月11日 江差町

葉は3出複葉で、先が浅くへこみます。

花は葉腋から出る柄の先につき、多数の蝶形花が球状に集まって咲きます。

ムラサキツメクサ(帰)

マメ目マメ科マメ亜科シャジクソウ属ムラサキツメクサ

ヨーロッパ原産の高さ20~60cmの多年草で、花期は5~10月です。

ムラサキツメクサ
6月19日 江差町

葉は3出複葉で、葉柄基部に大きな托葉がつきます。

花は多数の蝶形花が球状に集まって咲きます。

ソラマメ属

クサフジ

マメ目マメ科マメ亜科ソラマメ属クサフジ

長さ1.5mほどになるつる性の多年草で、花期は7月~8月です。

低地~山地の日当たりの良い場所に生えます。

クサフジ
7月7日 函館山
クサフジ
7月14日 江差町

葉は羽状複葉で、先端が巻きひげとなり、小葉は9~12対あります。

クサフジの葉
7月7日 函館山

葉身は披針形~広線形で長さ1.5~3cm、幅2~6mmです。

クサフジの葉
7月14日 江差町

花は総状花序に密に多数つき、長さ1cmほどの蝶形花です。

クサフジの花序
7月10日 江差町

ヒロハクサフジ

マメ目マメ科マメ亜科ソラマメ属ヒロハクサフジ

茎の長さ30~100cmになるつる性の多年草で、花期は6月下旬~9月です。

海岸の草地やれき地に生えます。

ヒロハクサフジ
6月21日 奥尻町

葉は羽状複葉で、先端は巻きひげとなり、小葉は5~8対あります。

7月1日 奥尻町

葉身は長さ1~2cm、幅5~10mmの長楕円形で先は円いです。

ヒロハクサフジの葉
6月30日 江差町

長さ2~3cmの総状花序に、蝶形花が密につきます。

クサフジの花
7月1日 奥尻町
ヒロハクサフジの花
6月30日 江差町

奥尻町では白花のヒロハクサフジも見かけました。

ヒロハクサフジ白花
6月21日 奥尻町

ナンテンハギ

マメ目マメ科マメ亜科ソラマメ属ナンテンハギ

高さ40~100cmの多年草で、花期は6~7月です。

野山の草地や林縁に生えます。

ナンテンハギ
6月19日 函館山
ナンテンハギ
6月26日 函館山

葉は2、時に3小葉からなる複葉で、葉柄基部に卵形の托葉があります。

この葉の形がナンテンに似ていることから、ナンテンハギの名前がついたそうです。

6月19日 函館山

花は総状につき、長さ1~1.5cmの蝶形花です。

ナンテンハギ
6月19日 函館山
6月26日 函館山

果実は長さ2.5~3cmの豆果です。

果実 7月21日 函館山

フジ属

フジ(栽)

マメ目マメ科マメ亜科フジ属フジ

庭などに植えられるつる性の落葉樹で、花期は5~6月です。

北海道には自生しておらず、道内で見られるものは本州から移入されたフジです。

フジ
6月3日 大沼公園

葉は奇数羽状複葉で、小葉は11~19枚です。

花は長さ20~30cmの花序に、蝶形花を多数つけます。

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