キク類ツツジ目サクラソウ科の植物

ツツジ目

サクラソウ科の植物は、世界に約53属2500種ほどあるとされています。

近年の分子系統解析の結果(APGⅢ以来)、それまで独立していたヤブコウジ科もサクラソウ科に亜科として含まれることとなり、大きな科となりました。

鉢植えとして栽培されるシクラメンやマンリョウは、サクラソウ科ヤブコウジ亜科の植物です。

日本には10属、北海道内には5属のサクラソウ科植物が自生しています。

ヤブコウジ属 マンリョウ

サクラソウ属

オオサクラソウ

サクラソウ亜科サクラソウ属オオサクラソウ

高さ20~40cmになる多年草で、花期は5~6月です。

低山の明るい林内に生えます。

オオサクラソウ群生地
5月27日 厚沢部町

花は茎頂に数個、時に2段になってつきます。

オオサクラソウ
5月27日 厚沢部町

花冠は径2cm前後で5深裂して裂片はさらに2浅裂します。

オオサクラソウ
5月27日 厚沢部町

花柱(めしべ)が雄しべよりも長い長花柱花と、花柱が雄しべより短い短花柱花があります。

オオサクラソウ 短花柱花

短花柱花 おしべは5本

オオサクラソウ 長花柱花

長花柱花 めしべは1本

オオサクラソウ がく

がくも5裂します

葉は数枚が根生し、長い柄があります。

葉身は円心形で7~9の浅い切れ込みがあり、裂片に不規則な鋸歯があります。

オオサクラソウの葉
5月27日 厚沢部町

エゾコザクラ

サクラソウ亜科サクラソウ属エゾコザクラ

高さ10~20cmになる多年草で、花期は7~8月です。

高山の湿った草地、雪田や雪渓の融雪跡に生えます。

エゾコザクラ群生地
8月17日 大雪山赤岳

花は3~10個つきます。花冠は5裂し径2~2.5cmです。

短花柱花と長花柱花の2型があります。

エゾコザクラ
8月17日 大雪山赤岳

葉は根元に集まりやや多肉質です。

長さ1.5~5cmのくさび型で、上半分に目立つ鋸歯があります。

エゾコザクラ
8月17日 大雪山赤岳
エゾコザクラの葉

エゾコザクラの葉

エゾコザクラ群生地
8月17日 大雪山赤岳

クリンソウ

サクラソウ亜科サクラソウ属クリンソウ

高さ40~70cmになる多年草で、花期は5月下旬~7月です。

低地~山地の湿った場所や沢沿いに生えます。

クリンソウ
6月11日 厚沢部町

花は茎の上部に3~7段、数個が輪生状につきます。

クリンソウ(九輪草)の名前は、この花のつき方からきたそうです。

花冠は径2~2.5cmで、5深裂し裂片の先は2浅裂します。

クリンソウの花

クリンソウの花

葉は根元に集まり、葉身は15~40cmのへら形です。

質は薄く表面にしわがあり、先が円く縁には鋸歯があります。

クリンソウの葉
6月11日 厚沢部町

コナスビ属(オカトラノオ属)

コナスビ

ヤブコウジ亜科コナスビ属コナスビ

茎の長さが20cmほどになる多年草で、地面を這い上部が斜上します。

花期は6~7月で、林内や道端に生えます。

全体に軟毛が多いです。

コナスビ
6月20日 厚沢部町

花冠の径は1cmほどで先が5裂します。

がくも5裂し、雄しべが5本、雌しべが1本あります。

コナスビの花
6月19日 函館山

葉は三角状卵形で鋸歯は無く、対生します。

コナスビの葉
6月19日 函館山

果実は径5mmほどで、ナスの形に似ることからコナスビの名前がついたそうです。

コナスビ
6月26日 函館山

オカトラノオ

ヤブコウジ亜科コナスビ属オカトラノオ

高さ1m前後になる多年草で、花期は6~8月です。

低地~低山の明るい場所に生え、地中に地下茎を伸ばして群生します。

オカトラノオ群生地
7月28日 江差町

花は茎の一方に偏って総状に多数つき、花序の上部は弓なりに曲がります。

オカトラノオの花
7月28日 江差町

花冠は径1cmほどで、花弁状に5裂します。

雄しべが5本、雌しべが1本あります。

オカトラノオの花アップ
7月28日 江差町

花柄の基部に線形の苞がつきます。

オカトラノオの花の苞
7月7日 函館山

葉は長楕円形で長さ7~12cmです。

鋸歯は無く両端がとがり、互生します。

オカトラノオの葉横から
7月7日 函館山
オカトラノオの葉上から
7月7日 函館山
9月28日 江差町
果実 9月28日 江差町

クサレダマ

ヤブコウジ亜科コナスビ属クサレダマ

高さ40~80cmになる多年草で、花期は7月下旬~8月です。

湿った草地に生え、根茎が伸びてやや群生します。

クサレダマ
7月28日 江差町

花は茎の上部に円錐状に多数つきます。

花冠の径は1cmほどで、5深裂します。

雄しべが5本、雌しべが1本あります。

クサレダマの花

クサレダマの花

クサレダマの花

葉は長楕円形で、長さ10cmほどです。

ふつう2~4枚が輪生しますが、ときに互生します。

クサレダマの葉とつぼみ
7月28日 江差町

レダマというマメ科木本植物に似ており、草本であることから、クサレダマの名前がついたそうです。

果実 8月23日 江差町

ツマトリソウ

ツマトリソウをツマトリソウ属としてコナスビ属から分ける見解もあります。

ヤブコウジ亜科コナスビ属ツマトリソウ

高さ7~20cmの多年草で、花期は6~7月です。

山地~亜高山の林縁などに生えます。

ツマトリソウ
7月17日 雨竜沼湿原

花は葉腋から出る1~2本の柄につきます。

花冠は普通7裂して径1.5~2cmですが、上の写真のように8裂することもあります。

雄しべも通常7本です。

7月3日 ニセコアンヌプリ

湿原に生え、葉が短く先がとがらずに花冠の長さが1.2cmほどの型を変種コツマトリソウといいます。

コツマトリソウ
コツマトリソウ? 7月4日 神仙沼湿原

コツマトリソウの特徴を個体差の違いとし、ツマトリソウと分けない見解もあります。

中間型の個体もあり、見分けるのはやや難しいです。

コツマトリソウ
コツマトリソウ? 6月27日 神仙沼湿原

ツマトリソウの名前の由来となった、花の縁が赤くつまどられる個体は少ないです。

ヤブコウジ属

ヤブコウジ

ヤブコウジ亜科ヤブコウジ属ヤブコウジ

高さ10~15cmになる常緑の小低木で、花期は8月です。

低地~低山の林内に生え、北海道では檜山地方と焼尻島に分布します。

ヤブコウジ
10月18日 奥尻町

葉は厚く硬くやや光沢があり、長さ3~4cmの長楕円形です。

縁には鋸歯があり、基部はくさび形です。

茎の上部に2~3段の輪生状に集まってつきます。

ヤブコウジの葉
10月18日 奥尻町

花は下向きに数個つき、花冠の先が5裂して径・長さともに5mmほどです。

果実は球形で径5mmほどで、10月頃赤く熟します。

ヤブコウジの実
10月18日 奥尻町
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