シュロソウ科の植物は、世界に16~19属約170種あるとされています。日本にはこのうち7属が分布します。
この科の植物は、少し前まではほとんどがユリ科として分類されており、DNA分析による新しい分類体系(APG)でシュロソウ科となりました。
ショウジョウバカマ属
ショウジョウバカマ
ユリ目シュロソウ科ショウジョウバカマ属ショウジョウバカマ
高さ10-20cmの多年草で、花期は5-7月です。
湿原や亜高山の湿った場所に生えます。
葉はロゼット状で光沢と厚みがあり、細長いへら形になります。
茎頂に小さな花が集まって付き、花被片は6枚です。花の色はピンク、紫、赤と変化に富みます。
ショウジョウとは顔の赤い架空の生き物です。花を猩猩の顔に、葉を袴に見立ててショウジョウバカマの名前がついたとされています。
ツクバネソウ属
ツクバネソウ
ユリ目シュロソウ科ツクバネソウ属ツクバネソウ
高さ20~40cmの多年草で、花期は5~6月です。
低地~山地の林内に生えます。
花弁(内花被片)は無く、がく片(外花被片)が4枚、雄しべが8本、花柱が4本あり、子房は緑色です。
葉は茎頂にふつう4枚輪生しますが、5-6枚になることもあります。
がく片が3枚、雄しべが6本の個体もありました。
クルマバツクバネソウ
ユリ目シュロソウ科ツクバネソウ属クルマバツクバネソウ
高さ20-30cmの多年草で、花期は5-6月です。
低地~低山の林内に生えます。
葉は茎頂に6-8枚輪生し、披針形で3本の葉脈が目立ちます。
がく片はふつう4枚ありますが、この写真のように5枚の個体もあります。
花弁は糸状でがく片の間に垂れます。子房は黒紫色です。
エンレイソウ属
エンレイソウ
ユリ目シュロソウ科エンレイソウ属エンレイソウ
高さ20~40cmの多年草で、花期は4~6月です。
低地~亜高山の明るい林内に生えます。
葉は茎頂に3枚輪生し、丸みをおびたひし形で網状脈があります。長さ・幅共に10~15cmです。
花弁(内花被片)は無く、あずき色または緑色のがく片(外花被片)が3枚あります。
雄しべは6本、雌しべは1本あり、雌しべの柱頭は3裂します。
果実(子房)が黒紫色の品種をクロミノエンレイソウ、緑色の品種をアオミノエンレイソウと呼ぶこともあります。
果実は稜のある球形で、径2-2.5cmになります。
コジマエンレイソウ
ユリ目シュロソウ科エンレイソウ属コジマエンレイソウ
高さ20~40cmの多年草で、花期は4~6月です。
エンレイソウと現存しないオオバナノエンレイソウの近似種との交雑種とされています。
赤紫色の花弁が通常3枚ありますが、0~2枚の個体もあるそうです。
コジマは渡島小島(松前小島)の意味で、北海道固有種のエンレイソウです。
ミヤマエンレイソウ(シロバナエンレイソウ)
ユリ目シュロソウ科エンレイソウ属ミヤマエンレイソウ
高さ20~40cmの多年草で、花期は5~6月です。
山地の広葉樹林内に生えます。
3枚ある花弁の先はとがり、花は横~斜め下向きに付きます。
がく片と花弁はほぼ同じ長さで、約3cmです。
雄しべは6本あり、葯は花糸とほぼ同じ長さです。
オオバナノエンレイソウ
ユリ目シュロソウ科エンレイソウ属オオバナノエンレイソウ
高さ20-40cmの多年草で、花期は5-6月です。
低地~低山、時に亜高山の明るい林内や草地に生えます。(ミヤマエンレイソウよりも湿った場所に生えているような気がします。)
3枚の花弁は広卵形で普通先はとがらず、花は上~斜め上向きにつきます。
雄しべは6本あり、雌しべより長く、葯の長さは花糸の約3倍ほどになります。
子房の先が濃い紫褐色になります。
シュロソウ属
シュロソウ
ユリ目シュロソウ科シュロソウ属シュロソウ
高さ50-100cmの多年草で、花期は7-8月です。
山地~亜高山の草地や樹林下に生えます。
下部に長楕円形で長さ20~35cmの大きな葉がつき、上部の葉は小さく細いです。
総状花序には毛が密につきます。花は径1-1.5cmで、花被片は6枚あります。雄花と両性花があります。
茎の根元がしゅろ状の繊維に包まれることが名前の由来です。
コバイケイソウ
ユリ目シュロソウ科シュロソウ属コバイケイソウ
高さ50-100cmの多年草で、花期は6-7月です。
低地~亜高山の湿原や湿った草地に生えます。
葉は長さ10~20cmの広楕円形で縦ジワが目立ち、基部は茎を抱きます。
花は茎上部の円錐花序に多数つき、径1cmほどです。花被片は6枚あり、雄花と両性花があります。