チゴユリ科の植物は、世界に15属285種あるとされています。
この科の植物は、少し前までは他の多くの種と一緒にユリ科として分類さてれいました。
しかし近年の分子系統解析によってユリ科とは分離され、小さなチゴユリ科として独立しました。
日本に分布するチゴユリ科植物は、ホウチャクソウ属のみです。
栽培種では、赤い花が美しいグロリオサがチゴユリ科キツネユリ属になります。
参考図書 「新維管束植物分類表」米倉浩司 「新北海道の花」梅沢俊 ほか
チゴユリ属
チゴユリ
ユリ目チゴユリ科チゴユリ属チゴユリ
茎が斜上して長さ20~35cmになる多年草で、花期は5~6月です。
山地の林内に生えます。細い地下茎が伸びて群生することが多いです。

茎はふつう分枝しません。
葉は長さ4~7cmの長卵形で先はとがります。


花は茎頂に1~2個つきます。花被片は6枚あり、長さは1.5cmほどです。
雄しべは6本、雌しべは1本で先端が3裂します。

花が下向きに咲いているのは、下向きの花への着地が苦手なハナアブを拒否し、ハナバチに来てもらうためだと言われています。


チゴユリの名前の由来は、小さくかわいいユリに似る花であることから「稚児」百合と名付けられたそうです。
エダウチチゴユリ
チゴユリの変種で、チゴユリよりも大型で高さ50cmほどになります。


茎は1~3回分枝します。



花被片は長さ2cm前後でチゴユリよりもやや長いです。
雌しべの花柱は先端部で3裂します。(近似種のオオチゴユリの花柱は基部近くで3裂します。)




ホウチャクソウ
ユリ目チゴユリ科チゴユリ属ホウチャクソウ
高さ30~60cmの多年草で、花期は5~6月です。
低山~山地の林内に生えます。

茎はふつう分枝して上部で斜上します。

花は筒状で長さ3cmほどで、枝先に1-3個下垂してつきます。

花被片は6枚で先が緑色をおびます。筒状の花で平開しません。


雄しべは6個、雌しべは1個で雌しべの花柱は3裂します。



葉は長さ5~15cmの広~長楕円形で、脈がはっきりと見えます。

果実は径1cmほどの球形で黒く熟します。



チゴユリとホウチャクソウの自然交雑種・ホウチャクソウチゴユリというものも存在するそうです。
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