タデ科の植物は、世界に約50属1200種あるとされています。
穀物のソバや染料の藍(タデアイ)はソバ科の植物です。
日本に自生するタデ科植物は7属70種ほどです。
北海道には7属30種ほどが自生しており、帰化種も含めると約40種になります。
イブキトラノオ属
イブキトラノオ
ナデシコ目タデ科イブキトラノオ属イブキトラノオ
高さ30~100cmの多年草で、花期は7~9月です。
海岸~高山の草原に生えます。
根出葉は長さ8~20cm、幅2~5cmの披針形で、基部は長い葉柄に流れて翼状になります。
茎葉は小さく細く柄の基部に茶褐色の托葉鞘があります。
花は茎頂の長さ3~7cmの円柱花序に密につきす。
花被(がく片)は3~4mmで、白~薄紅色で5深裂します。
花弁は無く、雄しべは8本、雌しべは1本、花柱は3個あります。
滋賀県伊吹山に多く見られたことから、イブキトラノオの名前がついたそうです。
ムカゴトラノオ
ナデシコ目タデ科イブキトラノオ属ムカゴトラノオ
高さ10~40cmになる多年草で、花期は7~8月です。
高山のれき地や草地に生えます。
葉の多くは根際につき、線状披針形で厚みがあります。
花は長さ2~5cmの穂状の花序につきます。
ふつう上部に多数の花がつき、下部にむかごがつきます。果実はほとんど熟しません。
花被片(がく片)は5つに裂けます。
ソバカズラ属
オオイタドリ
ナデシコ目タデ科ソバカズラ属オオイタドリ
高さ1~3mの雌雄異株の多年草で、花期は7~9月です。陽当たりの良い道端や林縁に根茎を伸ばして群生します。
葉は長さ15~30cmの広卵形で、基部は心形で先は次第にとがり、裏面は粉白色です。
花は葉腋から出る花序に多数つき、雄花序は立ち、雌花序は垂れます。
花弁は無く、花被(がく片)は5深裂し、雄しべは8本です。
雄花の雌しべは短く、退化しています。雄花は花粉を出した後すぐ散ります。
雌花の雄しべは短く退化しています。
果実は3稜のある倒卵形で、3個の翼があります。
痛み止めの薬になることから、イタドリの名前がついたそうです。
チシマミチヤナギ属
オヤマソバ、ウラジロタデ、ヒメイワタデなどをオンタデ属として分ける見解もあります。
オヤマソバ
ナデシコ目タデ科チシマミチヤナギ属オヤマソバ
高さ15~40cmになる多年草で、亜高山~高山のれき地に生えます。
花期は7月中旬~9月上旬になります。
茎は赤みをおび、よく分枝して葉をつける部分で交互に折れ曲がります。
葉は卵形でやや厚みがあります。
花は円錐花序に多数つきます。
花被(がく片)は深く5裂し、径3~4mmです。
花がソバの花に似ていたことから、オヤマソバの名前がついたそうです。
撮影地:アポイ岳
ウラジロタデ
ナデシコ目タデ科チシマミチヤナギ属ウラジロタデ
高さ30~100cmの雌雄異株の多年草で、花期は6~9月です。
低地~高山のれき地に生えます。
葉は大きいもので長さが20cm以上になり、裏面は綿毛が密生して白く見えます。
円錐状の花序に小さな花が密につき、花被片(がく片)は5枚です。
雄花(9月24日函館市恵山)
雄花には雄しべが8本と、退化した雌しべが1本あります。
雌花(9月24日函館市恵山)
果実(9月24日函館市恵山)
後に赤くなります
ヒメイワタデ
ナデシコ目タデ科チシマミチヤナギ属ヒメイワタデ
高さ10~30cmになる多年草で、花期は7~8月です。
高山のれき地に生えます。
葉は厚く、長さ3~7cmの披針形で柄はありません。
花は円錐状の総状花序に多数付き、白色~薄紅色で、5枚の花被片(がく片)があります。
写真のヒメイワタデは花が終わった状態です。
イヌタデ属
ミズヒキをミズヒキ属として分ける見解もあります。
オオイヌタデ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属オオイヌタデ
高さ50~120cmの1年草で、花期は8~10月です。
道端や空き地に生えます。
よく分枝し、節は膨れて赤みをおびます。
葉は互生し、長さ10~20cmの披針形です。
花は長さ7~8cmの下垂する穂状の花序に多数つきます。
花被(がく片)は4~5個に分裂し、雄しべは8本です。
イヌタデ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属イヌタデ
高さ20~50cmの1年草で、花期は7~10月です。道端や空き地に生えます。
葉は互生し、長さ4~8cmの披針形~長楕円形です。葉を包む托葉には荒い毛があります。
花は長さ2~5cmの穂に密につき、花被(がく片)は5個に分裂します。
雄しべは8本あり、雌しべは1本で柱頭は3個あります。
ハナタデ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属ハナタデ
高さ20~50cmの1年草で、花期は7~9月です。低地の林内や林縁に生えます。
イヌタデによく似ていますが、花の付き方がまばらです。
花被(がく片)は5個に分裂し、雄しべは8本あります。
葉の先が尾状に細くなり、葉の中央に濃い斑があることが特徴です。
アキノウナギツカミ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属アキノウナギツカミ
長さ30~100cmの1年草で、花期は7~9月です。低地~山地の湿地に生えます。
花は枝先に頭状につき、径3mmほどになります。
花被片(がく片)は5個に分裂します。
葉は長さ5~10cmの細長い三角形で、基部は矢じり形となり茎を抱いています。
茎にたくさんのトゲがあり、ウナギのようなものでもつかめるだろうということから、ウナギツカミの名前がついたそうです。
ミゾソバ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属ミゾソバ
長さ40~100cmになる1年草で、花期は8~10月です。
低地~山地の湿った場所に生えます。
花は茎頂の集散花序に密につき、花被(がく片)は5個に分裂します。
雄しべは8本、雌しべは1本で、雌しべの柱頭は3裂します。
茎には下向きのトゲがあり、よく分岐して茂みを作って群生します。
葉は長さ4~10cmの鉾(ほこ)形で、基部は浅い心形となります。
葉と花の形がソバに似ていて、湿った場所に生えることからミゾソバの名前がついたそうです。
ママコノシリヌグイ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属ママコノシリヌグイ
長さ1~2mの1年草で、花期は8~10月です。湿った場所に生えます。
茎に下向きの刺があり、他の植物に寄りかかるように伸びます。
葉は三角形で、刺がある長い柄があります。基部には茎を包むつば状の托葉があります。
花の花被(がく)片は5個に分裂します。
ヤノネグサ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属ヤノネグサ
長さ40~80cmになる1年草で、花期は8~10月です。低地の水辺や湿地に生えます。
葉は互生し、長さ3~7cmの長楕円形~卵形です。先は尖り、基部はくびれます。
花は枝先に集まり、花被は5裂します。
オオケタデ(オオベニタデ;帰)
ナデシコ目タデ科イヌタデ属オオケタデ
高さ1~1.6mになる大型の1年草で、花期は8~10月です。
東~南アジア原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。
花穂は枝先につき、長いもので10cmほどになります。
花は密に多数つき、花被(がく片)は5個に分裂します。
葉と茎には毛が密生します。
ミズヒキ
ナデシコ目タデ科イヌタデ属ミズヒキ
高さ40~80cmになる多年草で、花期は7~10月です。
低地~山地の林内や林縁に生えます。
花穂は長さ20~40cmあり、花はまばらにつきます。
花被片(がく片)は4枚で、上側は赤く下側は白いです。
雄しべは4隅に各1本と中央に1本、計5本あります。
雌しべは1本で、柱頭は2個あります。
花が終わるとがく片が閉じて、雌しべが伸びます。枯れた雌しべの先端が動物や人に引っ掛かり、種が遠くに運ばれます。
葉は互生し、長さ7~15cmです。
のし袋の水引に似ていることからミズヒキの名前がついたそうです。
ミチヤナギ属
ハイミチヤナギ(帰)
ナデシコ目タデ科ミチヤナギ属ハイミチヤナギ
茎が分岐しながら地上を這う1年草で、花期は8~9月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。
花は葉腋に数個ずつつき、花被(がく片)は5個に分裂します。
葉は楕円形で柄が無く、長さ0.2~1cmです(近似種ミチヤナギは1~5cm)。
ミチヤナギに比べて節間が短く、2cm以下です。
ギシギシ属
エゾノギシギシ(帰)
ナデシコ目タデ科ギシギシ属エゾノギシギシ
高さ50~130cmの多年草で、花期は7~9月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。
雄花と雌花があり、穂状の花序に何段も輪生状にぶら下がります。
上の写真で黄色の葯が見えるのが雄花です。糸状に見えるのは雌しべの裂けた柱頭です。
果実の中央に赤い球体があり、卵形の翼にはギザギザした突起があるのが特徴です。
葉は15~30cmの卵状楕円形で、縁は波打ちます。
根生や下部の葉は基部がくびれて長い柄があります。
スイバ
ナデシコ目タデ科ギシギシ属スイバ
高さ30~100cmになる雌雄異株の多年草で、花期は5~6月です。
低地の道端や草地に生えます。
葉は全縁で基部が矢じり形です。
上部の葉は無柄で、茎を抱きます。
下部の葉には長い柄があります。
花は円錐状に集まった房状花序に多数つき、径3mmほどで花被片は6枚です。
雌花の花被片3枚は、花後広卵形の翼状に大きくなって痩果を包みます。
ヒメスイバ(帰)
ナデシコ目タデ科ギシギシ属ヒメスイバ
高さ20~50cmになる雌雄異株の多年草で、花期は5~7月です。
ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。
根茎を伸ばして群生します。
花被片(がく片)は内外3枚ずつの計6枚です。
雄しべは6本、雌しべの花柱は3個あり柱頭は細かく裂けます。
下の写真の花は、葯の取れた雄花ではないかと思います。
葉は長さ2~7cmの鉾(ほこ)形で、基部は耳状に張り出します。