ナデシコ目タデ科の植物

ナデシコ目

タデ科の植物は、世界に約50属1200種あるとされています。

穀物のソバや染料の藍(タデアイ)はソバ科の植物です。

日本に自生するタデ科植物は7属70種ほどです。

北海道には7属30種ほどが自生しており、帰化種も含めると約40種になります。

イブキトラノオ属

イブキトラノオ

ナデシコ目タデ科イブキトラノオ属イブキトラノオ

高さ30~100cmの多年草で、花期は7~9月です。

海岸~高山の草原に生えます。

イブキトラノオ
7月23日 礼文町

根出葉は長さ8~20cm、幅2~5cmの披針形で、基部は長い葉柄に流れて翼状になります。

茎葉は小さく細く柄の基部に茶褐色の托葉鞘があります。

イブキトラノオの葉
7月23日 礼文町

花は茎頂の長さ3~7cmの円柱花序に密につきす。

花被(がく片)は3~4mmで、白~薄紅色で5深裂します。

花弁は無く、雄しべは8本、雌しべは1本、花柱は3個あります。

イブキトラノオの花
7月23日 礼文町

滋賀県伊吹山に多く見られたことから、イブキトラノオの名前がついたそうです。

ムカゴトラノオ

ナデシコ目タデ科イブキトラノオ属ムカゴトラノオ

高さ10~40cmになる多年草で、花期は7~8月です。

高山のれき地や草地に生えます。

ムカゴトラノオ
8月17日 大雪山赤岳

葉の多くは根際につき、線状披針形で厚みがあります。

花は長さ2~5cmの穂状の花序につきます。

ふつう上部に多数の花がつき、下部にむかごがつきます。果実はほとんど熟しません。

花被片(がく片)は5つに裂けます。

ソバカズラ属

オオイタドリ

ナデシコ目タデ科ソバカズラ属オオイタドリ

高さ1~3mの雌雄異株の多年草で、花期は7~9月です。陽当たりの良い道端や林縁に根茎を伸ばして群生します。

オオイタドリ
雄株 7月13日 江差町

葉は長さ15~30cmの広卵形で、基部は心形で先は次第にとがり、裏面は粉白色です。

花は葉腋から出る花序に多数つき、雄花序は立ち、雌花序は垂れます。

花弁は無く、花被(がく片)は5深裂し、雄しべは8本です。

オオイタドリ雄花
雄花 7月26日 美瑛町

雄花の雌しべは短く、退化しています。雄花は花粉を出した後すぐ散ります。

オオイタドリ雄花
雄花 7月13日 江差町

雌花の雄しべは短く退化しています。

オオイタドリ雌花
雌花 9月12日 江差町
オオイタドリ果実
果実 7月21日 厚沢部町

果実は3稜のある倒卵形で、3個の翼があります。

9月17日 大沼公園
オオイタドリの果実
10月12日 大沼公園

痛み止めの薬になることから、イタドリの名前がついたそうです。

チシマミチヤナギ属

オヤマソバ、ウラジロタデ、ヒメイワタデなどをオンタデ属として分ける見解もあります。

オヤマソバ

ナデシコ目タデ科チシマミチヤナギ属オヤマソバ

高さ15~40cmになる多年草で、亜高山~高山のれき地に生えます。

花期は7月中旬~9月上旬になります。

オヤマソバの花
8月5日 アポイ岳

茎は赤みをおび、よく分枝して葉をつける部分で交互に折れ曲がります。

葉は卵形でやや厚みがあります。

オヤマソバ
8月5日 アポイ岳

花は円錐花序に多数つきます。

花被(がく片)は深く5裂し、径3~4mmです。

花がソバの花に似ていたことから、オヤマソバの名前がついたそうです。

撮影地:アポイ岳

ウラジロタデ

ナデシコ目タデ科チシマミチヤナギ属ウラジロタデ

高さ30~100cmの雌雄異株の多年草で、花期は6~9月です。

低地~高山のれき地に生えます。

ウラジロタデ
9月24日 函館市恵山

葉は大きいもので長さが20cm以上になり、裏面は綿毛が密生して白く見えます。

ウラジロタデ葉の裏
9月24日 函館市恵山
ウラジロタデの葉
9月24日 函館市恵山

円錐状の花序に小さな花が密につき、花被片(がく片)は5枚です。

ウラジロタデ雄花

雄花(9月24日函館市恵山)

雄花には雄しべが8本と、退化した雌しべが1本あります。

ウラジロタデ雌花

雌花(9月24日函館市恵山)

ウラジロタデ果実

果実(9月24日函館市恵山)

後に赤くなります

ヒメイワタデ

ナデシコ目タデ科チシマミチヤナギ属ヒメイワタデ

高さ10~30cmになる多年草で、花期は7~8月です。

高山のれき地に生えます。

ヒメイワタデ
8月12日 礼文町

葉は厚く、長さ3~7cmの披針形で柄はありません。

花は円錐状の総状花序に多数付き、白色~薄紅色で、5枚の花被片(がく片)があります。

写真のヒメイワタデは花が終わった状態です。

ヒメイワタデ
8月12日 礼文町

イヌタデ属

ミズヒキをミズヒキ属として分ける見解もあります。

オオイヌタデ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属オオイヌタデ

高さ50~120cmの1年草で、花期は8~10月です。

道端や空き地に生えます。

オオイヌタデの花
9月5日 江差町

よく分枝し、節は膨れて赤みをおびます。

葉は互生し、長さ10~20cmの披針形です。

オオイヌタデ
9月5日 江差町

花は長さ7~8cmの下垂する穂状の花序に多数つきます。

花被(がく片)は4~5個に分裂し、雄しべは8本です。

オオイヌタデの花
9月5日 江差町

イヌタデ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属イヌタデ

高さ20~50cmの1年草で、花期は7~10月です。道端や空き地に生えます。

イヌタデ
9月13日 厚沢部町
10月のイヌタデ
10月12日 函館山

葉は互生し、長さ4~8cmの披針形~長楕円形です。葉を包む托葉には荒い毛があります。

イヌタデ
9月7日 厚沢部町

花は長さ2~5cmの穂に密につき、花被(がく片)は5個に分裂します。

雄しべは8本あり、雌しべは1本で柱頭は3個あります。

イヌタデ
9月13日 厚沢部町

ハナタデ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属ハナタデ

高さ20~50cmの1年草で、花期は7~9月です。低地の林内や林縁に生えます。

ハナタデ
9月12日 江差町

イヌタデによく似ていますが、花の付き方がまばらです。

ハナタデの花
9月12日 江差町

花被(がく片)は5個に分裂し、雄しべは8本あります。

ハナタデ
9月19日 江差町

葉の先が尾状に細くなり、葉の中央に濃い斑があることが特徴です。

ハナタデの葉
9月19日 江差町

アキノウナギツカミ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属アキノウナギツカミ

長さ30~100cmの1年草で、花期は7~9月です。低地~山地の湿地に生えます。

アキノウナギツカミつぼみ
9月14日 厚沢部町

花は枝先に頭状につき、径3mmほどになります。

花被片(がく片)は5個に分裂します。

アキノウナギツカミの花
9月28日 江差町

葉は長さ5~10cmの細長い三角形で、基部は矢じり形となり茎を抱いています。

アキノウナギツカミの葉
9月28日 江差町

茎にたくさんのトゲがあり、ウナギのようなものでもつかめるだろうということから、ウナギツカミの名前がついたそうです。

アキノウナギツカミの葉
9月14日 厚沢部町

ミゾソバ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属ミゾソバ

長さ40~100cmになる1年草で、花期は8~10月です。

低地~山地の湿った場所に生えます。

9月17日 大沼公園

花は茎頂の集散花序に密につき、花被(がく片)は5個に分裂します。

9月14日 厚沢部町

雄しべは8本、雌しべは1本で、雌しべの柱頭は3裂します。

9月17日 大沼公園

茎には下向きのトゲがあり、よく分岐して茂みを作って群生します。

ミゾソバの茎
9月28日 江差町

葉は長さ4~10cmの鉾(ほこ)形で、基部は浅い心形となります。

ミゾソバの葉
9月28日 江差町

葉と花の形がソバに似ていて、湿った場所に生えることからミゾソバの名前がついたそうです。

ママコノシリヌグイ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属ママコノシリヌグイ

長さ1~2mの1年草で、花期は8~10月です。湿った場所に生えます。

ママコノシリヌグイ
9月12日 江差町
ママコノシリヌグイ
9月12日 江差町

茎に下向きの刺があり、他の植物に寄りかかるように伸びます。

ママコノシリヌグイ
8月21日

葉は三角形で、刺がある長い柄があります。基部には茎を包むつば状の托葉があります。

8月28日 江差町

花の花被(がく)片は5個に分裂します。

ママコノシリヌグイ
8月21日 江差町
ママコノシリヌグイ
9月12日 江差町

ヤノネグサ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属ヤノネグサ

長さ40~80cmになる1年草で、花期は8~10月です。低地の水辺や湿地に生えます。

ヤノネグサ
9月9日 大沼公園

葉は互生し、長さ3~7cmの長楕円形~卵形です。先は尖り、基部はくびれます。

ヤノネグサ
9月9日 大沼公園

花は枝先に集まり、花被は5裂します。

ヤノネグサ
9月9日 大沼公園
ヤノネグサ
9月9日 大沼公園

オオケタデ(オオベニタデ;帰)

ナデシコ目タデ科イヌタデ属オオケタデ

高さ1~1.6mになる大型の1年草で、花期は8~10月です。

東~南アジア原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。

オオケタデ
9月5日 江差町

花穂は枝先につき、長いもので10cmほどになります。

花は密に多数つき、花被(がく片)は5個に分裂します。

オオケタデの花
9月5日 江差町

葉と茎には毛が密生します。

オオケタデの葉
9月5日 江差町

ミズヒキ

ナデシコ目タデ科イヌタデ属ミズヒキ

高さ40~80cmになる多年草で、花期は7~10月です。

低地~山地の林内や林縁に生えます。

ミズヒキ
9月12日 江差町

花穂は長さ20~40cmあり、花はまばらにつきます。

ミズヒキ
9月7日 江差町

花被片(がく片)は4枚で、上側は赤く下側は白いです。

ミズヒキの花
8月28日 江差町

雄しべは4隅に各1本と中央に1本、計5本あります。

ミズヒキ
8月28日

雌しべは1本で、柱頭は2個あります。

ミズヒキ雄花?
雄花? 8月28日

花が終わるとがく片が閉じて、雌しべが伸びます。枯れた雌しべの先端が動物や人に引っ掛かり、種が遠くに運ばれます。

ミズヒキ雌花?
8月28日 江差町

葉は互生し、長さ7~15cmです。

ミズヒキの葉
9月7日 江差町
10月15日 函館山

のし袋の水引に似ていることからミズヒキの名前がついたそうです。

ミチヤナギ属

ハイミチヤナギ(帰)

ナデシコ目タデ科ミチヤナギ属ハイミチヤナギ

茎が分岐しながら地上を這う1年草で、花期は8~9月です。

ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。

ハイミチヤナギ
8月23日 江差町

花は葉腋に数個ずつつき、花被(がく片)は5個に分裂します。

ハイミチヤナギ
8月23日 江差町

葉は楕円形で柄が無く、長さ0.2~1cmです(近似種ミチヤナギは1~5cm)。

ミチヤナギに比べて節間が短く、2cm以下です。

ハイミチヤナギ
8月23日 江差町

ギシギシ属

エゾノギシギシ(帰)

ナデシコ目タデ科ギシギシ属エゾノギシギシ

高さ50~130cmの多年草で、花期は7~9月です。

ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。

7月24日 厚沢部町

雄花と雌花があり、穂状の花序に何段も輪生状にぶら下がります。

花 7月24日 厚沢部町

上の写真で黄色の葯が見えるのが雄花です。糸状に見えるのは雌しべの裂けた柱頭です。

エゾノギシギシ
実をつけたエゾノギシギシ 9月5日 江差町
エゾノギシギシ

果実の中央に赤い球体があり、卵形の翼にはギザギザした突起があるのが特徴です。

エゾノギシギシの実
エゾノギシギシ果実 9月5日 江差町

葉は15~30cmの卵状楕円形で、縁は波打ちます。

根生や下部の葉は基部がくびれて長い柄があります。

エゾノギシギシの葉
6月19日 江差町

スイバ

ナデシコ目タデ科ギシギシ属スイバ

高さ30~100cmになる雌雄異株の多年草で、花期は5~6月です。

低地の道端や草地に生えます。

6月5日 江差町

葉は全縁で基部が矢じり形です。

上部の葉は無柄で、茎を抱きます。

スイバ上部の葉
上部の葉 6月5日 江差町

下部の葉には長い柄があります。

スイバ下部の葉
下部の葉 6月5日 江差町

花は円錐状に集まった房状花序に多数つき、径3mmほどで花被片は6枚です。

雌花の花被片3枚は、花後広卵形の翼状に大きくなって痩果を包みます。

スイバ雌花
雌花 6月23日 江差町

ヒメスイバ(帰)

ナデシコ目タデ科ギシギシ属ヒメスイバ

高さ20~50cmになる雌雄異株の多年草で、花期は5~7月です。

ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。

根茎を伸ばして群生します。

ヒメスイバ
6月20日 江差町

花被片(がく片)は内外3枚ずつの計6枚です。

ヒメスイバの雄花
雌花 6月20日 江差町
ヒメスイバの雄花
6月20日 江差町

雄しべは6本、雌しべの花柱は3個あり柱頭は細かく裂けます。

下の写真の花は、葯の取れた雄花ではないかと思います。

ヒメスイバ 雄花
5月30日 江差町

葉は長さ2~7cmの鉾(ほこ)形で、基部は耳状に張り出します。

ヒメスイバの葉
6月20日 江差町
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