オクシリエビネ、シュンラン、サルメンエビネなど、奥尻島で見ることができたラン科植物10種類について紹介します。
並び順は大まかに春~夏~秋と季節の順になっています。
シュンラン
シュンランはラン科シュンラン属の多年草です。花の時期は4~5月で、春一番に咲くランの花になります。
樹木の葉がまだ空を覆っていない、明るい春の林床で咲く花です。
花の中に赤紫色の斑点があるので、別名「ホクロ」とも呼ばれています。
高さは10-20cmほどで、背の低いランです。
細くて長い葉も特徴的で、幅1cm弱の葉は長さが20-35cmにもなります。
下の写真は5月10日に撮影したものです。このように他の草が周りに生え始めると、なかなか見つけられないです。
サルメンエビネ
サルメンエビネはラン科エビネ属の多年草です。花の時期は5~6月になります。
高さ30-50cmの背の高いランです。
群落を上から見た様子です。葉にくっきりとした縦ジワがあります。
花の下部が赤くてサルの顔に似ていることから、この名前がつきました。
サルの顔にはなかなか見えずらいですが、笑っている顔のように見えるサルメンエビネの花です。
サイハイラン
サイハイランは、ラン科サイハイラン属の多年草です。花の時期は5月下旬~6月になります。
高さ30-50cmの背の高いランです。
花は片側に、ほぼ同じ方向を向いて付いています。別の個体でも同じ方向を向いているのは、光の射す方向だからでしょうか?
サイハイランの名前は「采配を振るう」の采配に似ているからだそうです。
コケイラン
コケイランは、ラン科コケイラン属の多年草です。花の時期は6~7月になります。
高さ30-40cmのやや背の高いランで、6月になればよく見かける花です。
径1cmほどの小さな花を多数つけます。コケイランの名前は、別種のラン、ケイランに葉の形が似ていることから付いたそうです。
クモキリソウ
クモキリソウは、ラン科クモキリソウ属の多年草です。花の時期は6~7月になります。
高さは15-25cmで、背が低めのランです。
花の色は薄い黄緑色で、目立たないラン科植物です。
カキラン
カキランはラン科カキラン属の多年草です。花の時期は7~8月になります。
高さ30-60cmの背の高いランで、日当たりの良い湿った場所に生えます。
花の大きさは1cmくらいです。カキランの名前は、花の色が柿色であることから付きました。
オクシリエビネ
オクシリエビネは、ラン科エビネ属の多年草です。本州以南に生えるナツエビネの変種で、違いは葉の裏面に短毛があることとされています。
高さ20-40cmで、花の時期は8月の1ヶ月間と短いです。私が観察したオクシリエビネも8月初めに開花し、8月の中旬を過ぎるとほぼしおれていました。
7月29日、蕾の状態のオクシリエビネです。
一週間後の8月5日、花が咲き始めていました。
さらに6日後の8月11日、ほとんどの花が咲いています。
さらに8日後の8月19日、花は茶色くなってしおれていました。開花しているのは2週間くらいのようです。
オオヤマサギソウ
オオヤマサギソウはラン科ツレサギソウ属の多年草です。花の時期は7月下旬~8月になります。
高さは40-60cmで、小さな白い花を多数つけます。(8月12日撮影)
オオヤマサギソウの名前は別種のサギソウに似ていることから付いたらしいですが、花はサギというよりクリオネに見えます。
アケボノシュスラン
アケボノシュスランはラン科シュスラン属の多年草です。花の時期は8~9月になります。
高さ5-10cmの小さなランです。(8月30日撮影)
アケボノという名前は、花の色が曙色をしていることから付いたそうです。シュスは葉の模様が繻子織の布に似ていることからだとか。
ミヤマウズラ
ミヤマウズラはラン科シュスラン属の多年草です。花の時期は8~10月になります。
高さ10-20cmの小さなランです。(8月30日撮影)
同じシュスラン属のアケボノシュスランと、花の形が似ています。
花の大きさは1cmくらいです。ミヤマウズラの名前は、葉の形と模様がウズラの羽に似ていることから付きました。
以上、奥尻のラン科植物10種でした。私が見つけてここに紹介できたものはほんの一部で、実際はこの倍から3倍ほどの種類が生えているようです。
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