ユリ目チゴユリ科(イヌサフラン科)の植物

ユリ目

チゴユリ科の植物は、世界に15属285種あるとされています。

この科の植物は、少し前までは他の多くの種と一緒にユリ科として分類さてれいました。

しかし近年の分子系統解析によってユリ科とは分離され、小さなチゴユリ科として独立しました。

日本に分布するチゴユリ科植物は、ホウチャクソウ属のみです。

栽培種では、赤い花が美しいグロリオサがチゴユリ科キツネユリ属になります。

チゴユリ属

チゴユリ

ユリ目チゴユリ科チゴユリ属チゴユリ

茎が斜上して長さ20~35cmになる多年草で、花期は5~6月です。

山地の林内に生えます。細い地下茎が伸びて群生することが多いです。

チゴユリ
5月11日 奥尻町

茎はふつう分枝しません。

葉は長さ4~7cmの長卵形で先はとがります。

チゴユリ
5月14日 函館山
チゴユリ
5月11日 奥尻町

花は茎頂に1~2個つきます。花被片は6枚あり、長さは1.5cmほどです。

雄しべは6本、雌しべは1本で先端が3裂します。

5月14日 函館山

花が下向きに咲いているのは、下向きの花への着地が苦手なハナアブを拒否し、ハナバチに来てもらうためだと言われています。

チゴユリ
5月11日 奥尻町
チゴユリの果実
7月16日 大沼公園

チゴユリの名前の由来は、小さくかわいいユリに似る花であることから「稚児」百合と名付けられたそうです。

エダウチチゴユリ

チゴユリの変種で、チゴユリよりも大型で高さ50cmほどになります。

エダウチチゴユリ
5月28日 函館山
エダウチチゴユリ
5月19日 函館山

茎は1~3回分枝します。

エダウチチゴユリ
5月19日 函館山
エダウチチゴユリ
5月19日 函館山
エダウチチゴユリ
5月28日 函館山

花被片は長さ2cm前後でチゴユリよりもやや長いです。

雌しべの花柱は先端部で3裂します。(近似種のオオチゴユリの花柱は基部近くで3裂します。)

エダウチチゴユリの花
5月28日 函館山
エダウチチゴユリの花柱
5月28日 函館山
6月6日 函館山
9月5日 函館山

ホウチャクソウ

ユリ目チゴユリ科チゴユリ属ホウチャクソウ

高さ30~60cmの多年草で、花期は5~6月です。

低山~山地の林内に生えます。

ホウチャクソウ
5月21日 奥尻町

茎はふつう分枝して上部で斜上します。

ホウチャクソウ
5月14日 函館山

花は筒状で長さ3cmほどで、枝先に1-3個下垂してつきます。

ホウチャクソウの花
5月21日 奥尻町

花被片は6枚で先が緑色をおびます。筒状の花で平開しません。

ホウチャクソウのつぼみ
つぼみ 5月14日 函館山
開花したホウチャクソウ
開花した状態 5月28日 函館山

雄しべは6個、雌しべは1個で雌しべの花柱は3裂します。

ホウチャクソウの花柱
5月28日 函館山
ホウチャクソウの雄しべ
5月28日 函館山
ホウチャクソウ
5月28日 函館山

葉は長さ5~15cmの広~長楕円形で、脈がはっきりと見えます。

ホウチャクソウの葉
5月28日 函館山

果実は径1cmほどの球形で黒く熟します。

ホウチャクソウ花後
5月28日 函館山
ホウチャクソウの未熟な果実
7月18日 江差町
9月5日 函館山

チゴユリとホウチャクソウの自然交雑種・ホウチャクソウチゴユリというものも存在するそうです。

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