バラ類フウロソウ目フウロソウ科の植物

フウロソウ目

フウロソウ科の植物は、世界に5属約800種あるとされています。

その半分以上がフウロソウ属のものです。

日本に自生するのはフウロソウ属のみで、変種も含めて約30種が自生しています。

このうち北海道には8種ほどが自生しています。

なお園芸種のゼラニウムは、フウロソウ科テンジクアオイ属の植物です。

ゼラニウム

フウロソウ属

エゾフウロ

フウロソウ科フウロソウ属エゾフウロ

高さ30~80cmの多年草で、花期は7~8月です。

主に日本海側の海岸に生えます。

エゾフウロ群落
6月22日 奥尻町

よく分枝して茂みを作っています。

ハマフウロ
6月22日 奥尻町

花は2個ずつ付き、径2.5~3cmです。

花弁とがく片が各5枚、雄しべが10本、雌しべが1本あり、雌しべの花柱は5裂します。

エゾフウロ
8月11日 奥尻町

先に雄しべが成熟した後に雌しべが成熟し、自家受粉を防いでいるようです。

エゾフウロ
7月28日 江差町

葉は掌状に5裂け、裂片はさらに切れ込みます。

エゾフウロ
6月22日 奥尻町
エゾフウロ
7月13日 江差町

よく似たハマフウロとの違いは、ハマフウロの方が葉の切れ込みが浅く、毛が少ないとのことです。

エゾフウロの毛
6月23日 江差町

私が見た個体は葉の切れ込みは中くらいですが、毛が多く生えていたためエゾフウロと判断しました。

エゾフウロの毛
6月23日 江差町

ただ、エゾフウロは太平洋側、ハマフウロは日本海側に多いとされていますので、地理的にはハマフウロの可能性も捨てきれません。

花弁の先が切れ込んでいる個体もありました。

ハマフウロ
6月5日 江差町

花が終わった後は5裂した花柱が目立ちます。

エゾフウロの花柱
8月8日 江差町

チシマフウロ

フウロソウ科フウロソウ属チシマフウロ

高さ20~50cmになる多年草で、花期は6~8月です。

道南では亜高山~高山の草地に生えますが、道東・道北では海岸近くにも生えるそうです。

チシマフウロ
7月17日 雨竜沼湿原

花は茎頂の集散花序に集まってつき、径2.5~3cmです。

がく片には長毛が密生します。

チシマフウロ
7月3日 ニセコアンヌプリ
チシマフウロ
7月3日 ニセコアンヌプリ

花が白色の型を品種シロバナチシマフウロといいます。

大雪山系や日高山脈に見られる花の色が淡い型を品種トカチフウロといいます。

上の2枚の写真はニセコアンヌプリで撮影したものなので、シロバナチシマフウロかもしれません。

ゲンノショウコ

フウロソウ科フウロソウ属ゲンノショウコ

茎が地面を這って立ち上がり、長さ30~60cmになる多年草です。

道端や草地に生えます。

ゲンノショウコ
8月29日 江差町

花期は7~9月とされていますが、10月に咲いている花も見たことがあります。

花は長い柄の先端に2個ずつつき、径1.5cmほどです。

花弁とがく片が5枚、雄しべが10本、雌しべが1本、雌しべの花柱は5個あります。

ゲンノショウコ
雄しべのある花 8月29日 江差町

雄しべが先に成熟し、雄しべが落ちた後に雌しべが成熟するようです。

ゲンノショウコ
雄しべの落ちた花 8月29日 江差町

葉は掌状に3~5裂し、裂片に切れ込みがあります。

ゲンノショウコの葉
8月29日 江差町
ゲンノショウコ
9月12日 厚沢部町

果実は長さ2cmほどの棒状で、熟すと果皮が5つにめくれて種子が飛びます。

ゲンノショウコの果実
未熟な果実 9月14日 厚沢部町
ゲンノショウコの熟した果実
熟した果実 10月9日 函館山

八重咲のゲンノショウコを見つけました。

八重咲ゲンノショウコ
9月28日 江差町
八重咲ゲンノショウコ
9月28日 江差町

八重咲ゲンノショウコをその後も観察してみましたが、果実はできませんでした。

八重咲ゲンノショウコの花後
10月16日 江差町

下の写真は10月に函館山で見つけたゲンノショウコです。

今まで見てきたものに比べて葉の切れ込みが浅く、丸みをおびていたので別の花かと思いましたが、このような葉を持つ個体もあるようです。

丸い葉のゲンノショウコ
10月15日 函館山

ミツバフウロ

フウロソウ科フウロソウ属ミツバフウロ

茎が地面を這って立ち上がり、長さ30~80cmになる多年草です。

花期は7~10月で、山地~平地の草地に生えます。

ミツバフウロ
10月9日 函館山

花は径1~1.5cmで、花弁とがく片が各5枚あります。

雄しべは10本、雌しべは1本です。

ミツバフウロの花
10月9日 函館山

葉は対生し長い柄があります。ほとんどが3深裂して、5裂するのは下部の葉のみです。

葉の縁には大きな数個の鋸歯があります。

ミツバフウロの葉
10月9日 函館山
ミツバフウロ
10月9日 函館山
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