ウメガサソウやイチヤクソウの仲間は、旧分類ではギンリョウソウの仲間と共にイチヤクソウ科を作っていましたが、APG分類体系ではツツジ科に含まれるようになりました。
もともとツツジ科にあったドウダンツツジの仲間が、イチヤクソウやギンリョウソウよりも早く他のツツジの仲間から分枝した群だということがわかったからです。
ツツジ科イチヤクソウ亜科の植物は、世界に4属約40種あるとされています。
日本には4属11種ほどが自生しているようです。
ウメガサソウ属
ウメガサソウ
ツツジ科イチヤクソウ亜科ウメガサソウ属ウメガサソウ
高さ5~10cmの半低木状の多年草で、花期は6~8月です。
山地の樹林下に生えます。
花は茎の先に1個(まれに2個)つき、径約1cmです。
花冠とがくは5裂し、雄しべが10本、雌しべが1本あります。
花柱はほとんど無く、子房上に柱頭が乗ります。
葉は固く光沢があり、楕円形で長さ2~3cmです。
葉の先は尖り、縁には尖った鋸歯があります。
葉は2~3枚ずつ輪生状につき、各段の間には鱗片葉が互生してつきます。
花は下向きに咲きますが、果実が熟すにつれて上向きになります。
果実は径6~7mmの蒴果で、上を向いてつきます。
近似種のオオウメガサソウは、1本の茎先に3~6個の花をつけ、葉は10枚ほどが輪生状につきます。
地下茎を伸ばして群生します。
花の写真が無かったので葉の写真だけです↓
イチヤクソウ属
イチヤクソウ
ツツジ科イチヤクソウ亜科イチヤクソウ属イチヤクソウ
高さ15~25cmになる常緑の多年草で、花期は6~7月です。
山地の林内に生えます。
花は茎の上部に数個~10個つき、径1.2cmほどです。
花冠は花弁状に5裂し、がく片も5裂します。雄しべは10本、雌しべは1本です。
葉は下部に数枚集まり、楕円形~長卵形で長さ4~7cmです。
縁にはまばらに低鋸歯があり、質は厚いです。
イチヤクソウは一薬草と書き、乾燥したものを薬として用いていたことからこの名前がついたそうです。
ジンヨウイチヤクソウ
ツツジ科イチヤクソウ亜科イチヤクソウ属ジンヨウイチヤクソウ
高さ10~15cmの常緑の多年草で、花期は6~7月です。
低地~山地の樹林下に生えます。
花は2~6個が茎の先にまばらにつき、径1cmほどで花冠は花弁状に5深裂します。
雄しべは10本、雌しべは1本です。
がく片も5裂し、先は尖りません。
葉は根元に数枚集まり、腎円形で長さ1~3cmです。
基部は深い心形となって長い柄があり、葉脈に沿って白い斑が入ります。
このようにスギゴケが生えるような、湿った斜面によく生えています。
葉の形が腎臓形であることから、ジンヨウイチヤクソウの名前がついたそうです。
マルバノイチヤクソウ
ツツジ科イチヤクソウ亜科イチヤクソウ属マルバノイチヤクソウ
高さ15~20cmになる常緑の多年草で、花期は6~7月です。
山地の樹林下に生えます。
花は5~10個が茎の上部にまばらにつき、径1.2cmほどで花冠は花弁状に5裂します。
がく片も5裂し、先は尖ります。雄しべは10本、雌しべは1本あります。
がく片の様子
葉は根元に数枚集まり、硬く光沢があります。
円形で先端は丸いかややへこみ、長さ1~3cmです。
葉はジンヨウイチヤクソウの葉に似ていますが、葉脈に沿う白斑が無いのがマルバノイチヤクソウの特徴です。
しかし下の写真のように白い葉脈が目立つ個体もあり、がく片の尖り方を見て見分ける方が確実かもしれません。
ベニバナイチヤクソウ
ツツジ科イチヤクソウ亜科イチヤクソウ属ベニバナイチヤクソウ
高さ10~25cmになる常緑の多年草で、花期は6~7月です。
山地の明るい林内や林縁に生え、地下茎を伸ばして群生します。
花は総状に多数つき、花冠は径12~15mmです。
花冠とがくは5裂し、雄しべが10本、雌しべが1本あります。
花柱(雌しべ)は長く、ゆるく曲がります。
葉身は長さ3~5cmで広楕円形~卵状楕円形です。質はやや硬くつやがあります。
長い柄があり、下部に集まってつきます。
葉の縁には目立たない細かい鋸歯があり、葉先は丸いです。
果実は径約7mmの蒴果になります。
ヒトツバイチヤクソウ
ツツジ科イチヤクソウ亜科イチヤクソウ属ヒトツバイチヤクソウ
イチヤクソウの葉が退化した品種で、山地の林内に生えます。
高さ15~25cmになる多年草で、花期は7~8月です。
茎とがくが赤紫色、花冠はピンク色でベニバナイチヤクソウに似ていますが、開花時期はベニバナイチヤクソウよりも遅いです。
花が白色の個体もあるようです。
葉が1~2枚しか無く、半寄生的な植物といわれています。