キク類シソ目オオバコ科の植物

シソ目

オオバコ科の植物は、世界に約100属1900種あるとされています。

かつてオオバコ科は小さな科でしたが、近年のDNA分析に基づいたAPG分類体系では多数の科から多くの種が異動してきました。

身近な植物で言えば、ゴマノハグサ科だったクワガタソウ属(イヌフグリの仲間)が加わりました。

風媒花である地味なオオバコと、美しい花を咲かるクワガタソウが、系統的に近かったことは興味深い驚きです。

イワブクロ属

イワブクロ

シソ目オオバコ科イワブクロ属イワブクロ

高さ10~20cmの多年草で、花期は6月中旬~8月です。

高山のれき地や岩場に生えます。

イワブクロ
8月17日 大雪山赤岳

花は茎の上部にまとまって横向きにつきます。

花冠は長さ2.5cmほどで外側に長毛があり、筒状で先は5裂(上唇2裂、下唇3裂)します。

イワブクロ
7月3日 羊蹄山

花序とがくに白い長毛が密生します。

イワブクロ
8月17日 大雪山赤岳

葉は対生し、葉身は長さ4~7cmの卵状長楕円形で厚みがあります。縁には鋸歯があります。

イワブクロのつぼみ
つぼみ 7月3日 羊蹄山

オオバコ属

オオバコ

シソ目オオバコ科オオバコ属オオバコ

高さ10~30cmの多年草で、花期は6~9月です。

道端や空き地などに生え、下の写真のようにコンクリートの隙間にも生えます。

オオバコ
6月18日 江差町
7月13日 江差町

花は穂状に密に多数つき、1個の苞と4個のがく片に包まれ下から咲き上がります。

まず柱頭がつき出て風媒で受粉後に、雄しべ5本が出て花冠裂片が反り返るように開きます。

オオバコの花
オオバコの花

葉は長さ4~20cmの卵形で、つやがあります。縁にはふつう鋸歯はありませんが、時に不整の鋸歯が出たり波を打ったりします。

オオバコ
6月18日 江差町

オオバコとは大葉子と書き、大きな葉という意味です。

ヘラオオバコ

シソ目オオバコ科オオバコ属ヘラオオバコ

高さ30~60cmの多年草で、花期は5~8月です。

ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。

ヘラオオバコ
7月13日 江差町

花序は長さ3~5cmの短い円柱形で、多数の花が密につきます。

花は下から咲き上がり、雌しべが出た後に花糸の長い4本の雄しべが水平につき出ます。

白色~クリーム色の葯が目立ちます。

ヘラオオバコの花
7月24日 厚沢部町
7月24日 厚沢部町

葉はへら形で長さ10~20cmです。先が尖り、基部が次第に細くなって柄に移行します。

ヘラオオバコ
6月5日 江差町

葉の脈状と柄には長毛があります。

ヘラオオバコの葉
6月5日 江差町

クワガタソウ属

エゾヒメクワガタ

シソ目オオバコ科クワガタソウ属エゾヒメクワガタ

高さ5~20cmの多年草で、花期は7~8月です。

高山の草地に生えます。

エゾヒメクワガタ
8月17日 大雪山赤岳

茎は直立して株立ちとなり、白い軟毛があります。

葉は対生し、葉身は長さ1~3cmの広卵形で両面に毛があり、縁には鋸歯があります。

エゾヒメクワガタ
8月17日 大雪山赤岳

花は茎の上部にまとまってつき、花冠は花弁状に4裂して径1cmほどです。

花色は白色~淡紅色~青紫色と様々です。

エゾヒメクワガタの花
8月17日 大雪山赤岳

雄しべは2本、雌しべが1本あります。雄しべより花柱(雌しべ)が長く、5~7mmあります。

エゾヒメクワガタの雄しべと雌しべ
8月17日 大雪山赤岳

実の形が兜(かぶと)の飾りである「くわ形」に似ていることから、クワガタソウの名前がついたそうです。

オオイヌフグリ

シソ目オオバコ科クワガタソウ属オオイヌフグリ

茎の長さ20~40cmの1~2年草で、花期は4~7月です。

西アジア原産の帰化植物で、道端や空き地などに生えます。

オオイヌフグリ
4月28日 松前町
オオイヌフグリ
4月4日 函館市

葉は長さ1~2cmの卵円形で鋸歯があり、下部で対生、上部で互生します。

オオイヌフグリの茎と葉
4月4日 函館市

茎には軟毛があります。

オオイヌフグリの茎
4月4日 函館市

花は径8mmほどで上部の葉腋に1個ずつつき、花冠は4深裂します。

オオイヌフグリの花
4月4日 函館市

雄しべは2本、雌しべは1本あります。

オオイヌフグリの花
4月4日 函館市

花の柄は2~3cmと長く、葉より上に出て咲きます。

オオイヌフグリの花柄
4月4日 函館市

タチイヌフグリ

シソ目オオバコ科クワガタソウ属タチイヌフグリ

高さ10~25cmの1~2年草で、花期は5~7月です。

ヨーロッパ原産の帰化植物で、道端や空き地に生えます。

タチイヌフグリ
6月5日 江差町

茎は直立して毛があります。

葉は下部で対生し柄があって、上部で互生し無柄となります。

タチイヌフグリ
6月23日 江差町

上部の葉腋に、柄の無い小さな花がつきます。

タチイヌフグリの花
6月23日 江差町

花冠は花弁状に4深裂し、径4mmほどで下の1裂片が小さいです。

雄しべが2本、雌しべが1本あります。

4月22日 江差町
タチイヌフグリの花
4月22日 江差町

ヒヨクソウ

シソ目オオバコ科クワガタソウ属ヒヨクソウ

高さ25~70cmの多年草で、花期は6月下旬~7月です。

山地の明るい場所に生えます。

6月26日 函館山
6月26日 函館山

葉は極めて短い柄で対生し、長さ2~3cmの卵形で、先が尖ります。

軟毛が密生して、縁に鋸歯があります。

ヒヨクソウの葉
6月26日 函館山

葉腋から花序が上部が開いたU字形に対生します。

ヒヨクソウの花序
6月26日 函館山

花冠は花弁状に4深裂し、径6~8mmです。

ヒヨクソウの花
6月26日 函館山

雄しべが2本、雌しべは1本あります。

ヒヨクソウの雄しべと雌しべ
6月26日 函館山

対生する長い花序の形から、ヒヨクヨウ(比翼草)の名前がつきました。

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