サトイモ科の植物は、世界に約120属4100~5500種あるとされています。
サトイモ科の花は、「仏炎苞(ぶつえんほう)」と呼ばれる大型の苞に包まれた肉穂花序(にくすいかじょ)に多数付くのが特徴です。
苞とは葉が変形したものです。
サトイモ科の花は小さく目立たないので、仏炎苞が花の代わりになって虫を呼び寄せているものと考えられています。また種によっては虫を閉じ込める役割も果たします。
サトイモ科の植物には、サトイモやコンニャクなど食用として栽培されるもの、ポトスやアンスリウムなど観賞用として栽培されるものもあります。
テンナンショウ属
コウライテンナンショウ(マムシグサ)
オモダカ目サトイモ科テンナンショウ属コウライテンナンショウ
高さ30-100cmの多年草で、花期は5-6月です。
低地~低山の林内に生えます。
別名マムシグサの名前は、偽茎に蝮のようなまだら模様があることから付いたと言われています。
雌雄偽異株ですが外から見えている部分には花が付いていないため、雄株と雌株の区別は仏炎苞を取ってみないとわかりません。
偽異株と「偽」が付くのは、栄養状態によって性転換するためです。
葉は鳥足状の複葉で2個つき、小葉は5~17枚で狭倒卵形~広楕円形です。全縁で先が尖ります。
果実は液果で、秋に赤く熟します。
テンナンショウという名前は、球茎を「天南星」という漢方薬にすることからきているようです。
ミズバショウ属
ミズバショウ
オモダカ目サトイモ科ミズバショウ属ミズバショウ
湿地に生える多年草で、花期は低地の場合4-5月です。
葉の高さは花の時期には15cmほどで、後に伸びて80cmほどになります。
葉がバショウの葉に似ていることからミズバショウの名前がつきました。
白い仏炎苞に包まれた円柱状の肉穂(にくすい)花序に、径3-4mmの花が多数付きます。
1本の雌しべの周りを4本の雄しべと4個の花被片が囲んでいます。
ザゼンソウ属
ザゼンソウ
オモダカ目サトイモ科ミズバショウ属ザゼンソウ
高さ30-50cmの多年草で、花期は4-5月です。林内の湿った場所に生えます。
赤紫色の仏炎苞に包まれた肉穂(にくすい)花序に、花が多数付きます。1本の雌しべの周りを4本の雄しべと4個の花被片が囲んでいます。
ザゼンソウの名前の由来は、頭巾をかぶったお坊さんが座禅を組んでいる姿に似ていることからと言われています。
その他のサトイモ科植物
他に北海道に自生するサトイモ科植物は、ヒメカイウ属のヒメカイウ、ザゼンソウ属のヒメザゼンソウ、テンナンショウ属のウラシマソウとヒロハテンナンショウ、ハンゲ属のカラスビャクなどです。