ツツジ科の植物は世界に約130属4200~4300種あるとされおり、9亜科に分かれます。
その中でツツジ亜科は約20属1800種で、約50属1600種を含むスノキ亜科と並んで大きな亜科です。
旧分類でガンコウラン科として独立していたガンコウランは、APG分類体系ではツツジ科ツツジ亜科ガンコウラン属となりました。
ツツジ属
ヤマツツジ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツツジ属ヤマツツジ
40cm~3mになる半落葉低木で、花期は5~6月です。
山地の乾いた日当たりの良い場所に生えます。
花は枝先に2~3個つき、花冠は漏斗状で5深裂して径4cm前後です。
雄しべが5本、雌しべが1本あります。
春に出る葉は長さ3~5cmの楕円形で、両面に毛があります。
夏~秋に出る葉は長さ1cmほどで枝先に輪生し、越冬します。
果実は長さ約7mmの蒴果で、剛毛を密生し10月に成熟します。
コメツツジ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツツジ属コメツツジ
高さ30~100cmになる落葉低木で、花期は6月です。
山地~亜高山の岩地や稜線に生えます。
花は2~5個ずつつき、漏斗状で径1cmほどです。花冠は4~5裂します。
雄しべは4~5本あり、花冠から突き出ます。
短花柱花と長花柱花があります。
葉は枝の先に輪生状につき、長さ8~25mmの長楕円形~卵形です。
つぼみの形が米粒に似ていることから、コメツツジの名前がつきました。
イソツツジ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツツジ属イソツツジ
高さ50~80cmの常緑低木です。
6月に開花し6~7月が花の見ごろですが、数は少ないものの9月に咲いている花もあります。
低地の湿原や、高山帯の日当たりの良い場所に生えます。
花は球状に多数つき、花冠は5裂して径1cmほどです。
雄しべは10本あります。
葉は披針形で、長さ3~5cmです。革質で厚く、裏面には白と茶褐色の毛が混生します。
葉のふちは裏側へ巻き込みます。
果実は楕円形で長さ約5mm、9~10月に成熟します。
イソツツジのイソは磯では無く、エゾツツジと呼ばれていたものが間違ってイソツツジと表記されるようになったようです。
キバナシャクナゲ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツツジ属キバナシャクナゲ
高さ10~30cmになる常緑小低木で、高山に生えます。
幹は地面を這い、多くの枝を立ち上げます。
葉は長さ3~6cmの長~広楕円形で、無毛です。質は厚くて硬く、表面は葉脈に沿ってへこみ、ややしわ状になります。
キバナシャクナゲの葉
花は枝先に5~6個集まってつき、花冠は径3~4cmの漏斗型で先が5裂します。
花の内面上側には斑点があり、6~7月に開花します。
果実は蒴果で、長楕円形で直立します。長さ1~1.5cmで、9月に成熟し褐色です。
ハクサンシャクナゲ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツツジ属ハクサンシャクナゲ
高さ2~4mになる常緑低木で、花期は6月中旬~8月中旬です。
山地~亜高山の樹林下に生えます。
花は枝先に短い総状花序をつくって数個~15個つきます。色は白色~淡紅色です。
花冠は漏斗形で5裂し、径3~4cmで内側に淡い黄緑色の斑点があります。
葉は長楕円形で、長さ6~12cmです。
質は厚くて硬く光沢があり、全縁で縁が裏側に巻き込むことが多いです。
果実は9~10月に成熟し、円柱形で長さ約15mmです。
コヨウラクツツジ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツツジ属コヨウラクツツジ
高さ1~2.5mになる落葉低木で、花期は5~6月です。
山地~亜高山の林内に生えます。
花は枝先から腺毛のある長い柄でぶら下がります。
花冠は径5mmほどの壺形で光沢があり、先が浅く5裂します。
葉は枝先に輪生状につき、葉身は長さ2~5cmの長楕円形で、若葉は軟毛が多いです。
瓔珞(ようらく)とは仏像の首飾りのことで、花の形がこれに似ることから名前がつきました。
ホツツジ属
ホツツジ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ホツツジ属ホツツジ
高さ1~2mになる落葉低木で、花期は7月下旬~9月です。
山地の日当たりの良い場所に生え、北海道では南部にのみ分布します。
枝先に直立した円錐花序を出し、小さな花を多数つけます。
花は径1.5cmほどで、花冠は3裂して反り返ります。
花の色は、薄紅色(↑)または白色(↓)です。
雄しべは6本あります。雌しべは1本で長く、ほぼまっすぐ伸びて花の外まで突き出ます。
葉は互生し、倒卵形~楕円形で長さ3~7cmです。先は尖り、縁は全縁です。
果実は扁球形で、径約3mmです。10月に成熟し、褐色になります。
ミヤマホツツジ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ホツツジ属ミヤマホツツジ
高さ30~80cmの落葉小低木で、花期は7~8月です。
亜高山の尾根筋などに生えます。
花は総状花序につき径2cmほどです。花冠は3裂し、裂片は反り返ります。
雌しべの先はくるりと上に曲がります。
がくは5枚に全裂します(ホツツジのがくは杯状です)。
葉は狭倒卵形~へら形で、長さ3~6cmです。
ツガザクラ属
アオノツガザクラ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツガザクラ属アオノツガザクラ
高さ10~30cmになる常緑の小低木で、花期は7~8月です。
高山の雪田跡や草地に生えます。
幹は地面を這い、多数の枝が斜上します。
花は下向きに5~10個つき、花冠は長さ7~8mmの壺形です。先が浅く5裂します。
がくと柄に腺毛が密生します。
葉は密に多数つき、長さ5~15mmの線形です。
エゾノツガザクラ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科ツガザクラ属エゾノツガザクラ
高さ10~30cmになる常緑の小低木で、花期は7~8月です。
高山の雪田縁や草地、れき地に生えます。
花は枝先に数個つき、花冠は長さ8~10mmの壺形です。
柄と花の外側に腺毛があります。
葉は密に互生し、長さ7~12mmの線形で、縁に細かい鋸歯があります。
果実は蒴果で、径4mmほどの球形です。8~9月に成熟します。
チシマツガザクラ属
チシマツガザクラ
ツツジ目ツツジ科ツツジ亜科チシマツガザクラ属チシマツガザクラ
茎が地面を這いマット状に広がる常緑の矮小低木で、高さは2~7cmです。
高山のれき地に生え、花期は7~8月です。
花は枝先から伸びた花柄に数個つき、径7mmほどです。花弁は4枚、雄しべは8本あります。
葉は広線形で密に互生し、厚みと光沢があります。長さは3~4mmで、縁を裏面に巻き込むため幅は1mmほどです。
ガンコウラン属
ガンコウラン
枝が地面を這い、立ち上がって10~20cmの高さになる常緑の小低木です。
亜高山~高山のれき地やハイマツ林縁に生えます。
雌雄異株で花は枝先の葉腋につき、径4mmほどです。
花期は5~7月とされていますが、6月上旬の恵山では花が終わっていました。5月中に見に行かないと花を見つけることは難しいのではないかと思っています。
葉は密に互生または輪生し、長さ4~7mm、幅0.7~1mmです。
果実は径1cm弱の球形で、黒く熟して食べられます。