ニシキギ科の植物は、世界に約96属1200種あるとされています。
このうち日本には6属30種ほど、北海道には3属10種ほどが自生しています。
ニシキギ科はウメバチソウ亜科、ポッティンゲリア亜科、ニシキギ亜科の3亜科に分かれます。
このうちニシキギ亜科が約92属1100種を含み、最も大きいです。
他の2亜科は近年のDNA分析による新分類で、ニシキギ科に異動してきたグループになります。
参考図書 「新維管束植物分類表」米倉浩司 「新北海道の花」梅沢俊 ほか
ツルウメモドキ属
ツルウメモドキ
ニシキギ目ニシキギ科ニシキギ亜科ツルウメモドキ属ツルウメモドキ
山野に生える落葉つる性木本で、他の木に絡んで伸びます。
雌雄異株の植物です。

花は淡緑色で径約7mm、5~6月に開花します。


果実は球形で径約8mm、10月に成熟し3裂します。




果実はふつう3裂しますが、中には下の写真のように4裂するものもあります。


実の中の種




ツルウメモドキの冬芽
ニシキギ属
マユミ
ニシキギ目ニシキギ科ニシキギ亜科ニシキギ属マユミ
山地や原野に生える落葉樹で、高さ3~5mになります。

葉の長さは5~15cmで、縁には細鋸歯があり対生します。



花は淡緑色で径約8mm、5~6月に開花します。



花弁は4枚、雄しべは4本あります。


果実は4稜あり、長さ8~10mmです。


果実は9~10月に淡紅色~紅色に熟し、4裂します。



冬芽は卵形で、長さ3~6mmです。鱗片に白っぽい縁取りがあることが特徴です。


昔この木で弓を作ったことから、マユミの名前がついたそうです。
コマユミ
ニシキギ目ニシキギ科ニシキギ亜科ニシキギ属コマユミ
山地から海岸近くに生える落葉樹で、高さ2mほどになります。
葉の長さは2~7cmと、マユミに比べて小型です。

マユミと同じく葉の縁には細鋸歯があり、葉は対生します。
よく似たニシキギとは、枝にコルク質の翼が無いという点で区別します。

花は淡黄緑色で径約7mm、5~6月に開花します。花弁は4枚です。
雄しべは4個、雌しべは1個あります。

果実は長さ5~8mmの楕円形のさく果で、1~2個の分果に分かれます。


果実は9~10月に赤く熟します。



10月になると葉は赤く紅葉します。

冬芽は卵形で長さ2~5mmです。

ツリバナ
ニシキギ目ニシキギ科ニシキギ亜科ニシキギ属ツリバナ
山地に生える落葉樹で、高さ4~5mになります。


花は集散花序につき淡緑色~淡桃色で、5~6月に開花します。


花は径約8mmで、花弁は5枚です。雄しべも5個あります。


葉は卵形~長楕円形で対生します。葉の縁には細かい鋸歯があり、先が尖ります。

10月下旬になると、葉は黄色になります。

果実は約12mmの球形で、9~10月に赤く熟します。



やがて5裂し、朱赤色の種子が出てきます。





オオツリバナ
ニシキギ目ニシキギ科ニシキギ亜科ニシキギ属オオツリバナ
山地に生える落葉樹で、高さ4~6mになります。

葉は倒卵状楕円形~長楕円形で長さ7~13cmです。
先は尖り、縁には細かい鋸歯があります。よく似たツリバナの葉よりも幅が広いです。


花は淡緑白色で径約8mm、花弁は5枚あり5~6月に開花します。
果実は球形で径約1.5cmです。中央部の側面に5個の狭い翼が出ます。


9~10月に赤く熟し、5裂します。

果実が熟する時期は、ツリバナよりもやや早いです。



クロツリバナ
ニシキギ目ニシキギ科ニシキギ亜科ニシキギ属クロツリバナ
亜高山帯に生える落葉樹で、高さ4~5mになります。
花は暗紫色で径約8mm、6~7月に開花します。

ウメバチソウ属
ウメバチソウ
ニシキギ目ニシキギ科ウメバチソウ亜科ウメバチソウ属ウメバチソウ
高さ10~40cmになる多年草で、花期は8~9月です。
低地~亜高山の湿地に生えます。

根出葉には長い柄があり、葉身はやや肉厚の心形で長さ2~4cmです。
茎葉は同形でやや小さく、茎の中ほどに一枚付きます。

花は茎頂に1個つき、径2~2.5cmです。花弁は5枚です。

雄しべは10本ですが、このうち5本は仮雄しべです。
仮雄しべは糸状に裂け黄色い腺体がついており、虫をおびき寄せます。

5本の雄しべは1本ずつ開いてゆき、最後に雌しべが開きます。


下の写真の赤紫色の葉はホロムイイチゴのもので、ウメバチソウの葉は花の根元に見える黄緑色のハート型の葉になります。
