夏の奥尻島西海岸に咲く花

奥尻島

自然豊かな北海道奥尻島。そんな奥尻島の西海岸で、夏の間に見ることができる花々について紹介します。

奥尻島の西海岸にはこのようなごつごつした岩が沢山あります。

6月28日 奥尻西海岸

海岸に生えるピンクの丸いポンポンのような花、アサツキはネギの仲間(ヒガンバナ科)です。ここでは道南の他の海岸よりもアサツキが多い気がしました。

アサツキ
6月28日 アサツキ

アサツキの花は、たくさんの小さな花が集まって丸い花の形を作っています。

アサツキ花アップ
6月28日 アサツキ

馴染みのある海岸植物ハマヒルガオヒルガオ科)が、ここでも咲いていました。

ハマヒルガオ
6月28日 ハマヒルガオ

海沿いにある岩場に咲いていたのは、ハコベの仲間ハマハコベナデシコ科)です。

ハマハコベ
6月28日 ハマハコベ

ハマハコベの花を近くで見ると、花びらが小さいく葉が肉厚なのがわかります。

6月28日 ハマハコベ

同じ海岸に咲くハコベの仲間でも、葉が細くて花弁が大きめなのがハマツメクサナデシコ科)です。

ハマツメクサ
6月28日 ハマツメクサ

海岸で麦のような花を咲かせているのはコウボウムギ(イネ科)です。コウボウムギは昔繊維を筆に使用したので、書道の達人弘法大師の名前が付きました。写真は雌花です。

コウボウムギ
6月21日 コウボウムギ

海岸で目を引く黄色の花、エゾオグルマは海岸に生えるキク科植物です。

エゾオグルマ
6月28日 エゾオグルマ

スナビキソウは海岸の砂地に生えるムラサキ科の植物で、漢字で砂引草と書きます。

6月28日 スナビキソウ

海の近くで咲いている青い花はナミキソウ(浪来草)です。波が来るような場所に生えている草、というのが名前の由来です。

ナミキソウと海
6月28日 ナミキソウ

ナミキソウシソ科の植物です。よく見ると花は2個づつペアになって咲いています。

ナミキソウ
6月28日 ナミキソウ

少し大きめ(3cmくらい)の紫色の花をつけているのは、海岸の砂地に生えるマメ科植物ハマエンドウです。

6月21日 ハマエンドウ

ハマエンドウと同じマメ科ヒロハクサフジは、小さな花がまとまってつきます。

6月21日 ヒロハクサフジ

図鑑に載っていなかったこの植物は、おそらくヒロハクサフジの白色個体だと思います。

6月21日 ヒロハクサフジ

ここから海岸の岩場・砂礫地を離れて、少し内陸の方に移動します。

エゾフウロフウロソウ科)が花畑を作っています。

灯台とエゾフウロ
6月22日 奥尻西海岸

雄しべがあるエゾフウロの花です。

エゾフウロ花
8月11日 エゾフウロ

こちらは雄しべが落ちた後のエゾフウロです。

エゾフウロ花
6月22日 エゾフウロ

エゾフウロはよく分枝し、茂みを作って咲いています。

エゾフウロ
6月22日 エゾフウロ

ヒロハクサフジに似ていて、より細く細かい葉を付けているのは、クサフジマメ科)です。

クサフジ
7月1日 クサフジ

こちらのピンクの花はエゾカワラナデシコナデシコ科)です。海岸近くの草原に生えます。

エゾカワラナデシコ
7月1日 エゾカワラナデシコ

ツリガネニンジンキキョウ科)も咲いていました。ツリガネニンジンにニンジンの名が付いたのは、根の形が朝鮮人参に似ているからだそうです。

ツリガネニンジン
8月11日 ツリガネニンジン

全体的に白い毛が生えたツリガネニンジンも見つけました。

7月26日 ツリガネニンジン

草原を歩くキジの姿を見かけました。キジはもともとこの島に生息する種でなく、島に移住した人間が持ち込んだもののようです。

8月11日 キジ

こちらの黄色いセリ科植物はホタルサイコです。

ホタルサイコ
7月1日 ホタルサイコ
7月1日 ホタルサイコ

山地の草地や岩地に生えるというカノコソウスイカズラ科)が咲いていました。カノコソウのカノコは「鹿の子絞り」という染模様と、蕾の付いた状態の花が似ているからだそうです。

カノコソウ
6月21日 カノコソウ

つる性植物サルナシ(コクワ)(マタタビ科)の花も咲いていました。

サルナシ
6月21日 サルナシ

秋になると熟するサルナシの実は、キウイのような味がします。

サルナシの実
7月1日 サルナシの果実

海岸や沢沿いの岩場に生える植物、バシクルモンキョウチクトウ科)を見つけました。

7月26日 バシクルモン

丘の方ではゼンテイカワスレグサ科)が咲いていました。

ゼンテイカ
6月21日 ゼンテイカ

ムシトリナデシコナデシコ科)とブタナキク科)の草原もありました。どちらも帰化植物ですがこうしてみると綺麗です。

ムシトリナデシコ
6月21日 ムシトリナデシコとブタナ

ここからちょっとだけ奥尻島の観光名所の紹介です。

奥尻島西海岸には、北追岬公園という野外美術館のような公園があります。彫刻家・流政之氏によって製作されたモニュメントが自然の中に設置されています。もちろん入場無料です。

北追岬公園
北追岬公園 

北追岬公園には散策路も整備されており、大岩の下をくぐったりちょっとした探検気分が味わえます。

約300年前、公園の東側にある神威山の斜面で大規模な地すべりが発生したようで、その岩屑なだれの上に作られているのがこの公園です。大きな岩(元は神威山の一部)がゴロゴロしているのはそのためです。

くぐり岩

奥尻島西海岸には様々な奇岩が見られます。中でも有名なのはこのホヤのような形をした岩、ホヤ石です。

ホヤ石
ホヤ石

ホヤ石は、約340万年前に地層に貫入したマグマが冷えて固まった安山岩の岩体です。マグマが急激に冷えてできる柱状節理が観察できます。

柱状節理
柱状節理

東海岸には鍋の取手(つる)に似てたことから鍋釣(なべつる)岩と名付けられた岩があります。

鍋釣岩は約700~300万年前に地層に貫入したマグマが冷え固まり、隆起後に周りの地層が侵食されてできたものです。

なべつる岩
なべつる岩

岩の右上に生えている植物は、メギ科の低木ヒロハノヘビノボラズです。

蛇も登らないようなトゲのある枝を持つ落葉低木ですが、花は薄黄色でかわいいです。

ヒロハノヘビノボラズの花
ヒロハノヘビノボラズの花 5月19日 函館山

夏の奥尻の海は「オクシリブルー」と呼ばれる綺麗な青色です。奥尻島は海も山も美しい島です。

参考図書)「海岸ぐるり!道南の地形と地質」前田寿嗣 北海道新聞社

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